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2016年6月8日水曜日

読了メモ「黒い玉 十四の不気味な物語」トーマス・オーウェン



読了。

ベルギーの怪奇短編小説集。

帯には、
 あえておすすめします。
 夜、ひとりでお読みになることを。
とあった。

大きな樹木や天井の高い建物の死角に
何かがいるというような話は、
読んでるそばからぞくぞくしてきます。
例えば、「亡霊への憐れみ」という話の中では
こんな描写が。。。

 知らない家の物音、
 ベッドやワックスをかけた床の匂い、
 窓から今にも侵入してきそうな
 プラタナスの葉のざわめき、
 いつもと違う周りの空間の大きさ、
 ベッドの台のきしみ、
 そんなすべてが、-眠いにもかかわらず-
 われわれを悩ませ、圧迫するのだ。

日本の住居や風土と比べて明らかに余裕のある空間があるけれども
そこに息がつまるような怖さが入り込んできます。
これだけで懸け離れた異空間にトリップしてしまいそうです。


タイトルにもなっている「黒い玉」という話。
表紙のイメージから、まっくろくろすけ的なイメージを持ってしまい、
主人公と一緒にその黒い玉をもてあそんでしまうように
読み進んでしまうのですが。。。。
最後に肩をすくめるような後味が残ります。

他にも、亡骸の消えているお墓や、人形が血を流す話、
密室から忽然と人がいなくなる話など。


先日の鎌倉でのブックカーニバルでご一緒した
こわい本専門の「ちのり文庫」さんにインスパイアされまして
おっかないお話を読んでみました。

梅雨でジメッとした日本の夜に、
異国の幻想小説はいかがでしょうか。

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黒い玉 十四の不気味な物語
トーマス・オーウェン
東京創元社 1993年


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