2016年11月2日水曜日
読了メモ「街の人生」岸 政彦
読了。
世でマイノリティと言われる人たちへのインタビュー集。
日系南米人のゲイ、ニューハーフ、摂食障害者、
シングルマザーの風俗嬢、そして元ホームレス。
彼らひとりひとりに確かな人生があるわけで、
インタビューを通じて著者の言う「人生の断片」というものを垣間見て、
それはどこのだれもが持っている普通のものであるけれど、
その人固有の唯一無二のものなのです。
読んでみて、貴重な体験をさせてもらえたなと言える一冊です。
ただ、マジョリティとの確執はどうも埋めようがないのも現実。
もちろん本人にとっては、いたって普通だしあたりまえだし、
いわんや病気だなんてとんでもないことなのです。
しかしながら、相手がたとえ親族であっても、兄弟であっても
拒絶されたらいやだなという思いが心の底に常にある。
一方で両方の気持ちがわかる、どっちの立場も理解できるという話も面白い。
そもそも人間は両面を持っていて相互に理解できる素性があるのに、
いつのまにか型や枠にはまって思考の道が一本道になってしまっている。
彼らはいわば複眼的に社会を見据えやすい立場にいるのではないでしょうか。
明暗、高低、表裏、左右、上下、真偽、内外、大小、男女、貧富。。。
最後、元ホームレスの西成のおっちゃんの言葉が響きます。
凄まじいくらいのホームレス度合いの話を聞いたあとなのでなおのことです。
やっぱね、人ってね人間ってね、一人では絶対に生きていけん。
少しでも人と話をしたりするのがやっぱり、長生きの秘訣。
〜 中略 〜
ああじゃこうじゃ言ってな、たまには喧嘩もしたり、
人間感情があるからね、YESマンじゃないから(笑)
なんだかとても豊かな気持ちになれたのでした。
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街の人生
岸 政彦
勁草書房 2014年
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