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2016年11月13日日曜日

読了メモ「村上春樹にご用心」内田 樹



読了。

内田先生の村上春樹について書かれたブログや
雑誌に掲載されたエッセイのアンソロジー。
体系的に整えられた堅い評論ではないので
内田先生の本って読むの難しそうだなという方も
気軽に読めるのではないかと思います。
内田節はもちろん炸裂してますので、
それはそれで存分に楽しめます。

いくつかの話を通じて、一貫して言っているのが、
なぜある種の批評家たちは
村上春樹にこれほどまでに深い憎しみを向けるのか。
というトピック。
自分もこの本を読んで初めて知ったのですけど
ある著名な方などは、「村上春樹など読むな」とまで言ったとか。
せめて、私は読むに値しないとそう思うのだから、
騙されたつもりで貴方も一度読んでみてごらんなさい。
私の言うことがわかるから。
というのが、文壇から出すコメントとしては本筋ではないか
という指摘は至極ご尤もですね。

ただ、この話を読んだ時に、ふと、自分もネタ違いこそあれ、
似たようなことをしていないかと思い巡らしてしまう。
食わず嫌い、見て見ぬ振り、先入観、思い込み。。。
思い当たるところありますね、あります。
最初になんらかの強烈な印象が刷り込まれてしまうと
なかなかそのメモリーを書き換えることが
難しくなってきている昨今は、特に意識しておかないといけません。

村上春樹の作品は、はじめから翻訳されることを想定しているので
外国語に翻訳されたものをあらためて和訳しても
大きな違いがないという話も驚きです。
内田先生はそれを実例で示してくれています。
外国語のできる方はそんな読み方もできるんですね、いいなぁ。

表紙カバーに載っている小さいイラストの
雪かき仕事の解説もでてきますよ。
宇宙論的仕事観とか言って、そんなに難しい言い方でなくとも
よっしゃ働くか!っていう気持ちになることの尊さを
かの作品を通じて読めるんだと諭しています。

などとこういう指摘がいろいろ出てくるので
まだ読んでいないのはもちろん読みたくなるし、
読んだものももう一度読み直してみたくなる
ということになっちゃうのです。

さらに、この本にも続編があります。
すでに積ん読の中にあるわけでそれはまたいつか。

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村上春樹にご用心
内田 樹
アルテスパブリッシング 2007年




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