2017年1月14日土曜日

読了メモ「犬の人生」マーク・ストランド



読了。

短編小説集ではあるのだけれど、
それぞれのストーリーがトントンと展開し、
結末に着地するというものでもない。
今の情景や登場人物の立ち居振る舞い、
感情や自由にひろがる想像の世界が書かれている。
訳者である村上春樹のあとがきを読んで、
あ〜、これは散文詩なんだ とあらためて思った。
正直言って、難解です。

本書のタイトルにもなっている「犬の人生」は、
犬のことを言っているようで実は自身の前世のことを話している。
どうやら主人公はコリーだったようだ。
そして、その犬の頃の自分は
人間になることの兆候を感じ取っていたらしい。
逆に次の世に生まれたいま、再び犬になるか
ということについては、その兆候はないという。

一人称で気ままなことを言ってるようなのだけれど、
そういう自分自身も輪廻転生の発想をする方なので、
前世の時代に自分が今の人間になることを
予兆できていたという意識の置き換えは面白い。
ということは、この場合、次も人間になるということなのか、
それとも次の世に生まれて初めて
前世で兆候があったかどうかがわかるのだろうか。

他にも、気象オタクの「大統領の辞任」
愛する父さんのことを想う「更なる人生を」
裸の王様を思い出した「将軍」などが面白かった。

 
全体を通して、この本の前に読んだ
梶井基次郎の本と似たような感じだった。
なので、ちょっと食傷気味ではある。

次は、もう少し俗世的なのを読もうか。

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犬の人生
マーク・ストランド
村上春樹 訳
中央公論社 1998年


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