読了。
短編小説集ではあるのだけれど、
それぞれのストーリーがトントンと展開し、
結末に着地するというものでもない。
今の情景や登場人物の立ち居振る舞い、
感情や自由にひろがる想像の世界が書かれている。
訳者である村上春樹のあとがきを読んで、
あ〜、これは散文詩なんだ とあらためて思った。
正直言って、難解です。
本書のタイトルにもなっている「犬の人生」は、
犬のことを言っているようで実は自身の前世のことを話している。
どうやら主人公はコリーだったようだ。
そして、その犬の頃の自分は
人間になることの兆候を感じ取っていたらしい。
逆に次の世に生まれたいま、再び犬になるか
ということについては、その兆候はないという。
一人称で気ままなことを言ってるようなのだけれど、
そういう自分自身も輪廻転生の発想をする方なので、
前世の時代に自分が今の人間になることを
予兆できていたという意識の置き換えは面白い。
ということは、この場合、次も人間になるということなのか、
それとも次の世に生まれて初めて
前世で兆候があったかどうかがわかるのだろうか。
他にも、気象オタクの「大統領の辞任」
愛する父さんのことを想う「更なる人生を」
裸の王様を思い出した「将軍」などが面白かった。
全体を通して、この本の前に読んだ
梶井基次郎の本と似たような感じだった。
なので、ちょっと食傷気味ではある。
次は、もう少し俗世的なのを読もうか。
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犬の人生
マーク・ストランド
村上春樹 訳
中央公論社 1998年
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