読了。
2017年最初の読了メモは漫画です。
酉年にちなんで鳥の本。
手塚治虫の短編SF擬人化漫画集。
栄華を極めた人類の文明が滅び、
替わりに鳥達が世界を支配している様が
18話の漫画になっておさめられています。
鳥が人間のように言葉を話し、火も使う。
組織を作り上げ、社会を築き、モラルと法の下に秩序を保つ。
この世界で人類は絶滅しているわけではありません。
牛や馬と同じ家畜レベルにおかれています。
地面を走り回っているだけで、空も飛べないのは
下等な生き物だということなのです。
過去の栄光はかすかに伝説程度で知られているくらい。
もちろん、飛べない鳥もなかにはいます。
それどころか、羽毛の色艶、容姿、生まれ育ちなどで
鳥の世界にも差別が生まれています。
ある話の中に、異なるカースト間で恋に落ちる二羽の話がありました。
最後に二羽は追われて死んでしまうのですが、
発見された時の姿は、お互いの羽を全部抜いて死んでおり、
どちらがどちらだったか、区別がつかなかったとか。
もっとも激しいのが食性による違い。
そこには食肉性の鳥達のよる闇の世界がありました。
本能や欲求に従うままに、同じ仲間の鳥を引き裂き、
卵を違法に孵化させて生まれたヒナを...。
漫画ですけれど、表現的にはなまなましく
かなりきついものがあります。
手塚治虫は鳥人の世界を通して人間を風刺していたわけなので
そのままひっくり返せば人間の世界そのものだということなのでしょう。
人間がその昔に残した科学技術の遺産に鳥達が触れて
核爆発が起きてしまうという話もありました。
そして最後は、この世の支配層としてふさわしい
鳥ではない次の種族が選ばれる。
それはなんだと思いますか。
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鳥人大系
手塚治虫
大都社 1976年
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