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2020年3月21日土曜日

読了メモ「うまい酒が飲みたい」 橋本憲一

本記事は、2015年にキュレーションサイト「iftaf」に掲載したものに
加筆・修正を加えて当ブログに再掲載したものです。




読了。

石川県の「菊姫」という酒をご存知だろうか?
自分は残念ながらまだ飲んだことがないし、
患った持病のため、もう一生、酒を飲むこともないだろう.....(涙)


この本は、京都の料理屋「梁山泊」の主人が
菊姫の地を回って、蔵元やそこにいる杜氏、蔵男たちから
話を聞き、寝食を共にしながら
うまい酒とは何かを追い求める話。

酒の作り方すら知らない自分にとって
本書は、山廃や速醸、蒸米や麹、モト(酒母)といった
専門用語も簡単に解説してくれたので理解も進んでありがたかった。


もちろん、酒の作り方とか、どんな米がいいとか
そういう話だけにとどまらない。
長い酒の歴史の中で、課されてきた税金(酒税)が
酒の業界を駄目にしてきたとか、
味を大きく左右する水に対する執拗なこだわりや、
杜氏や蔵男の後継者問題などに渡る。
いずれも深刻な問題なのだ。

ただ、不思議だったのが
ここの蔵元も杜氏も酒を嗜むことをしない人たちだということ。
そんな人たちが、うまい酒を作っている。
作り手側として、酒の味や香りを熟知し共有し、
微妙な工程の目盛りを掌握しきっているということなのだろうか。


酒を、甘口、辛口という基準で評価する時代は過ぎ、
穏やかな酒、厳しい酒と区分けする時代になるとあった。
また、酒を飲むことは、その酒の生まれた谷の水に会いに行くことだそうだ。
そして、よく言われる「キレ」「喉越し」「コク」とは。。。。
いやはや奥が深くて、なかなか酒の姿に追いつかない。

つまるところ、うまい酒とは一体どういう酒なのか。
それは「酒のうしろに人の見える酒」なのだそうです。


.......う〜む、まだまだまだまだですね。
もう酒は飲めなくなってしまいましたが、
プロローグにあった吉祥寺のお店に行ってみたかったなぁ。


本の半ばあたりに、酒蔵や杜氏、蔵男たちの写真が
モノクロで挟まっています。この雰囲気もまたよいです。
杜氏の顔の皺が全てを物語っているようで
まるで酒を見ているようで最高です。

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うまい酒が飲みたい
橋本憲一
晶文社 1988年


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