2020年8月4日火曜日

読了メモ「ホテルローヤル」 桜木紫乃



読了。

確か、直木賞受賞作だった。
いつも読み始めた後で気づく。

装丁やタイトルからもわかるとおり
ラブホテルの話です。
ところは、北海道、釧路湿原。
七つのお話からなる短編集。

読み始めて、おや?っと思うのは、
最初のお話は、もはや現役ではなくなったホテルローヤル。
すでに廃墟となったホテルローヤルのお話。

そう、七つのお話は時間を遡って語られていきます。

ラブホテルのお話なので、
それなりな男女が出てくるお話ばかりと思いきや
売れないカメラマン、お坊さまとご遺骨、
舅と同居で生活の苦しい中高年夫婦、
ホテル掃除のパートのおばさん、
そして、最後は、ホテルのオーナーが
どういう経緯でホテルを建てるか
ネーミングはどのように決まったのか。
などがつづられていく。

どれもお話が切ないのだ。
ラブホテル自体が、もともと影のイメージがあるところへ
しょっぱなから朽ち果てた廃墟の話から
始まるものだから、余計に登場人物の思いは儚く
男と女の関係も何かやりきれない人生の隅っこを
歩いている感じがする。

ひとりひとりの人間って、必ずしも盤石で強いわけでもなく
ちょっと突っつくとポロっと崩れちゃうような
カゲロウみたいな弱いところがあるんだなと思わせます。

でも、読むと、人に対して優しい気持ちに
きっとなれる一冊だと思います。

どうやら、今年の11月に映画が公開されるみたいですね。

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ホテルローヤル
桜木紫乃
集英社 2013年
 



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