著者は、映画「Back to the Future」の主演俳優。
彼の自叙伝だが、華々しいハリウッドスターの
レッドカーペット上の話ではない。
ご存知の方も多いかと思うが、
彼は若くしてパーキンソン病に冒されてしまった。
今、彼は同じ病気に悩む人たちを助ける財団を立ち上げ
モハメド・アリなどと一緒になって
政府の公聴会でこの病気の証言をするなどの活動をしている。
スター俳優として、妻や子どもたち、信頼のおける医師、
セラピスト、一部の仕事仲間の支えをうけながら、
この病気に立ち向かう闘病記でもある。
一時期は自暴自棄になってアルコール依存症も併発させてしまう。
そして、なんと、彼は七年間も、病気のことは伏せて
俳優活動を続けてきたという。
もちろん、薬で症状を押さえ込んできたのだが
服用するタイミングを少しでも間違うと
体が自分の言うことを聞かなくなり、勝手に動き出す。
とても撮影どころではなくなる。
したがって、時間管理がしっかりできないと
俳優活動ができないわけだが、撮影が深夜に渡ったりと
時間が不規則になりがちな映画活動よりも
時間管理のしやすいテレビドラマにシフトしていくことになった。
これには先述した人々の理解や支援が大きな力となった。
頭にドリルで穴をあけるという脳の手術も行った。
手術そのものは成功に終わったが、病気が完治したわけではない。
本人の最大の悩みは、観客とのことだった。
お客様でありフアンでもある観客に対しては
このまま隠しおおせることでいいのか。
観客との関係をはっきりできないままへの恐れから自由になりたい。
という最後の葛藤を解き放つべく
自らの病についての公表を決意する。
公表した時は、街中の新聞・雑誌の一面、表紙は
彼の写真と病名で埋め尽くされたそうだ。
パーキンソン病は進行性の病で
彼の体は完治するすることはないであろう。
それでも、家族をはじめ周囲の関係者の理解と協力を得て
彼なりの活動を続けていられることに
自らをラッキーな男だと言って本書を締めくくっている。
マイケルが持つ人間性、周囲の人への配慮が満ちて
ぐいぐいと読み込ませられた一冊でした。
途中、パパの指の震えを押さえ込もうとする
幼い息子サムとの会話が涙を誘います。
では、最後はお約束で、映画のワンシーンをどうぞ。
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ラッキーマン
マイケル・J・フォックス 入江真佐子 訳
ソフトバンクパブリッシング 2013年
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