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2020年9月6日日曜日

読了メモ「ライオンのおやつ」小川 糸





読了。

前回の読了メモに続いて、
地域的には瀬戸内海界隈の小説で
ところは、レモン島という。

ここには、末期癌などで余命宣告を医師から告げられ
残り短い余生を過ごすホスピスがあり
そこに入所した33歳の女性を主人公としたお話である。

ホスピスの名前は「ライオンの家」という。
レモン島は離島であるため、日用品は調達できても
特別な嗜好品や好きな洋服などは揃えることが難しい
などが書かれた案内状から話は始まり、
主人公はステージⅣであり、
越年しても桜はみることができるかどうか....、
という状態であることがわかる。

つまり、ライオンの家に入所する人とは
なんらかの理由で家族のもとを離れ、
ライオンの家で末期を迎える人ばかりということだ。

のっけから、そういう話に遠慮なくどっぷりと入っていくので
読み進めるのが、つらく切なすぎるなと最初は思っていた。
そうであっても、飼われている犬に癒されたり
天国でデートしようと約束を交わしあったり、
入所者がリクエストする毎週日曜日のおやつと
おやつにまつわる本人のメッセージなどを読んでいくと
生きることの大切さが実感として感じられるようになってくる。

主人公の女性は、不慮の事故で両親を失い
赤ん坊の頃から、母親の弟に男手一つで育てられた。
彼女にとっては父親同然の叔父が、
ある日、見舞いにやってくるが、そこには妹が一緒だった。
その時、主人公は体は元気にならないけれど、元気な頃の心を取り戻せたという。
彼女の感謝の気持ちの高まりはなんとも表現しようがない。

「人は生きている限り変われるチャンスがある。」
「生きることは誰かの光になること。」
など、命の尊さや希望、
そして、今を生きているこの瞬間がいかに大切かを
最後まで訴えているお話です。

涙もろい人は、読みながら泣いちゃいますよ。

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ライオンのおやつ
小川 糸
ポプラ社 2019年




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