2020年12月30日水曜日

読了 2020


2020年、いろいろありましたが
読書は前年比大幅増の右肩上がりでした。
というか昨年が少なすぎ。

以下は、今年読んだ本、ざっと53冊。
バビル2世の全8巻も8冊と数えてますけど。(汗)

2021年も今年以上に読書欲を上げて
いきたいと思います。

以下に備忘録もかねて。
一覧を作ってみましたのでよろしければ。


暮らしの哲学
池田晶子
読了日:2020年1月4日

ひとりでは生きられないのも芸のうち
内田 樹
読了日:2020年1月13日

海底二万マイル
ジュール・ヴェルヌ
読了日:2020年1月21日

人間の建設
小林秀雄・岡 潔
読了日:2020年2月6日

深呼吸の必要
長田 弘
読了日:2020年2月13日

後ろ向きで前へ進む
坪内祐三
読了日:2020年2月23日

お伽草紙
太宰 治
読了日:2020年3月5日

イカ干しは日向の匂い
武田 花
読了日:2020年3月7日

貧乏入門
小池龍之介
読了日:2020年3月14日

傲慢と善良
辻村深月
読了日:2020年3月22日

40℃超えの日本列島でヒトは生きていけるのか 体温の科学から学ぶ猛暑のサバイバル術 
永島  計
読了日:2020年4月5日

昆虫記(上)
ファーブル 大岡信  訳
読了日:2020年4月22日

昆虫記(下) 
ファーブル 大岡信 訳
読了日:2020年4月22日

魯山人の食卓
北大路魯山人
読了日:2020年4月25日

世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド
村上春樹
読了日:2020年5月5日

ひのまる劇場
江口寿史
読了日:2020年5月8日

人生を変えてくれたペンギン 海辺で君を見つけた日
トム・ミッチェル
読了日:2020年5月16日

もっとも危険な読書
高橋源一郎
読了日:2020年5月30日

ぼくの植え方 日本に育てられて
エドワード・レビンソン
読了日:2020年6月5日

倚りかからず
茨木のり子
読了日:2020年6月11日

茨木のり子 自分の感受性くらい
別冊太陽 日本のこころ
読了日:2020年6月11日

横浜駅SF
柞刈湯葉
読了日:2020年6月26日

乱読のセレンディピティ
外山滋比古
読了日:2020年7月2日

靖 国
坪内祐三
読了日:2020年7月13日

ペスト
カミュ
読了日:2020年7月24日

ホテルローヤル
桜木紫乃
読了日:2020年7月30日

転がる香港に苔は生えない
星野博美
読了日:2020年8月8日

ラッキーマン
マイケル・J・フォックス
読了日:2020年8月15日

文化系女子という生き方「ポスト恋愛時代宣言」! 
湯山玲子
読了日:2020年8月24日

四とそれ以上の国
いしいしんじ
読了日:2020年8月30日

ライオンのおやつ
小川 糸
読了日:2020年9月6日

小説家のメニュー
開高 健
読了日:2020年9月8日

絵本の時間絵本の部屋
今江祥智
読了日:2020年9月14日

博士の愛した数式
小川洋子
読了日:2020年9月17日

ことり
小川洋子 
読了日:2020年9月23日

犬であるとはどういうことか その鼻が教える匂いの世界
アレクサンドラ・ホロウィッツ
読了日:2020年10月11日

自殺予防学
河西千秋
読了日:2020年10月20日

かないくん
谷川俊太郎
読了日:2020年10月29日

バビル2世 (1) 
横山光輝
読了日:2020年11月6日

バビル2世 (2)
横山光輝
読了日:2020年11月6日

バビル2世 (3) 
横山光輝
読了日:2020年11月6日

バビル2世 (4)
横山光輝
読了日:2020年11月6日

バビル2世 (5)
横山光輝
読了日:2020年11月6日

バビル2世 (6)
横山光輝
読了日:2020年11月6日

バビル2世 (7)
横山光輝
読了日:2020年11月6日

バビル2世 (8) 
横山光輝
読了日:2020年11月6日

辞書の政治学 ことばの規範とはなにか
安田敏朗
読了日:2020年11月9日

新解さんの謎
赤瀬川原平
読了日:2020年11月23日

上林 暁傑作小説集『星を撒いた街』
上林 暁
読了日:2020年12月6日

これはペンです
円城 塔
読了日:2020年12月14日

ペイネ・愛の本
レイモン・ペイネ 串田孫一 解説
読了日:2020年12月17日

老人と海
ヘミングウェイ
読了日:2020年12月17日

それでも、読書をやめない理由
デヴィッド・L・ユーリン
読了日:2020年12月24日

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2020年12月28日月曜日

読了メモ「それでも、読書をやめない理由」デヴィッド・L・ユーリン



読了。

今年、最後の読了メモになるかな。
自分もこれまで、たくさん本を読んできたけど
やっぱりやめられないなぁ。
そりゃ、あんなに積読してるしというのもあるけど。


本書は、読書について書かれた本で
著者の息子の学校からの宿題である
「グレート・ギャツビー」が話の発端ですけれど
翻訳書だけあって、引き合いに出されるのが
海外文学なので、例示されても
いまいちピンとこないのが玉に瑕かな。

でも、なかなかいいこと書いてありましたよ。


 『誰の本を読むかはたいして問題ではない。
  読書を発見への旅ととらえ、
  自分の内面世界の発掘ととらえることだ』
これは、乱読の自分には身を寄せたくなる言葉ですね。


 『ひとりひとりの受け止め方は、
  それぞれ違っていてよいということだ』
これは小林秀雄先生も同じ様なこと言ってたなぁ。


読者だけでなく、作者側にも意見をしていました。
 『注釈は風通しのよさが大事で、作品を覆うのではなく、
  作品に織り込んでいくものであり、
  感性を押しつけるのではなく融合させる行為である』
なるほど。

本を読み直す再読することについても
とても良いことが書いてあるんだけど
全文引用すると長くなっちゃうのでやめときますが
一行だけいただくと、
 『良かれ悪しかれ、現在と過去に向かいあうことになる』
自分がどれだけ変わったかを知ることになる
ということらしいです。


後半には、TwitterやFacebookなども出てきて
情報に向かいあう我々人間の姿勢についても
変化が起き始めていると説いていて、
テクノロジーが人間の脳の回路を配線し直している
とまで言っています。

一瞬のうちに情報が手に入る社会にいて
時間をかけて読書をするということがどういう意味か
最後はややスピリチュアルな終わり方だったけど
自分はこれからも読書をしていきたいと
再確認した本書なのでした。


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それでも、読書をやめない理由
デヴィッド・L・ユーリン 井上 里 訳
柏書房 2012年




2020年12月24日木曜日

読了メモ「老人と海」E・ヘミングウェイ



読了。

ヘミングウェイは、高校生の頃だったか
ドツボにはまって読み漁りましたねぇ。
「武器よさらば」「誰がために鐘は鳴る」
「日はまた昇る」「海流の中の島々」等々。
懐かしい思い出の作家さんです。
もちろん、本書も当時読みました。
で、30年以上経ってからの再読です。

高校生の頃に読んだ時の感想なんて
とっくに吹き飛んでいるんですが、
骨だけになった魚に群がる他の漁師達を見ながら
小屋で横になっている老人の
寂しそうなイメージだけは記憶に残っています。


今回、改めて読んでみて、
老人サンチアゴの一つ一つの動作が
目の前にあるように繊細に描かれているのが素晴らしく
船でのカジキやサメとの格闘はもちろんなのですが、
港や小屋で静かに一人でいる時の
老人の手のカサカサした感触や
白髪混じりのじゃりじゃりした髭の感じなど
なんとも言えない臨場感があります。
まるで、明るい単焦点のレンズで
老人を浮き出させたような画像が
頭の中に浮かんできます。

場所はフロリダだったと思うのですが
ヘミングウェイの住んでいたという家に
実は行ったこともあるんです。
2階に書斎があって、
周囲は大きなシュロの木で囲まれていたと思います。

書くのも恥ずかしいですけれど
青春時代の心に浸るものを感じ
あと書きも参考資料も付いていたのですが
読後には全く不要でした。

なんとも表現しにくいのですけど
こういう感覚、大切にしたいですね。

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老人と海
E・ヘミングウェイ 高見 浩 訳
新潮社 2020年






2020年12月17日木曜日

読了メモ「ペイネ 愛の本」レイモン・ペイネ 串田孫一解説



読了。

フランスの画家であり漫画家でもある著者の
愛についての四冊分の一コマ漫画を一つにまとめたもの。
その四冊とは以下の通り。

 <ふたり>のポケット・ブック
 <ふたり>のウィークエンド
 <ふたり>のベッドサイド・ブック
 <ふたり>のおくりもの

で、それぞれの冒頭に、あの串田孫一さんが
解説というか、前書きのような文章を寄せてくれています。
自分としては、孫一さんの文章の方が
読みたかったというのが本音。

一コマ漫画は1ページを使っているので
四冊分といっても、あっと言う間に読み終えられます。
なかには、吹き出しに相当する文章がないものもあったりだけど
ユーモアに溢れていて、微笑ましくて、
愛がいっぱいの男女の姿が描かれています。
漫画なので、おっぱいが兎や音符になっていたり
ティアドロップが連なったカーテンがあったり
男性も人魚の格好をしていたりと
愛が詰まった小箱を覗いている感じで
ついクスッとしてしまいます。

孫一さんの解説は、それはそれはとってもやさしい文章です。
その後に続く漫画とのバランスも取れていて
漫画のページに入る前に
しっかりと読者の心を温めてくれる文章なのです。

山岳文学や硬めの随想論などで有名な方ですが
こういうモフモフ感あふれる文章もかける孫一さんって
とっても素敵だと思います。

あ〜、あんな文章を書けるようになれたらいいなぁ。。。。

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ペイネ 愛の本
レイモン・ペイネ
串田孫一 解説
みすず書房 1997年



2020年12月15日火曜日

読了メモ「これはペンです」円城 塔





読了。

タイトルになっている「これはペンです」と
「良い夜を持っている」の二篇からなる。

う〜ん。。。。両方ともなかなか手強い話だった。

最初の話は「叔父」、次の話は「父親」が
鍵を握っている人物なんだけれど、
どうも、自分にはこの人物が実在していたとは思えない。
主人公の「わたし」の空想世界で作りあげられたのではないかと。

本書はサスペンスやスリラーではないのです。
ある書店員さんによると、著者の描く小説を
”実験小説”と称していました。

そう言われてみれば、SFでもないし、
かと言って、話の流れと時間軸がずれていたり、
そもそも、最初の話の冒頭が
「叔父は文字だ。文字通り。」
で始まる。
もうこの段階で、自分の頭は半分狂乱していた。
その叔父からメールが来たり、肉筆の手紙でのやりとりがある。

当事者の二人同志は必死に言葉を交わしている。
主人公であるわたしが、生身の言葉で返事しているのに、
一方からは言葉を自動的に生成する装置からの返事とかで
その象徴として、表紙にもあるタイプボールが登場したりする。
ふたつ目の話では、現実のやりとりなんだか、
夢なんだか、記憶を辿っている話なんだかが混乱してくる。
母親と巡り合った経緯とか、磁石に砂鉄が着いた時は
本当かどうか知らないが、磁石をフライパンで焼けば良いとか。
しかしながら、よく読めば一つ一つの話の筋は通っているのだ。
撹乱されてはいけない。

頭の硬くなっている小生には
かえすがえすも難解なお話であった。
こういう話をさらっと読んで、
ふむふむと読後感にひたれるようになりたいものだ。

ちなみに、「これはペンです」は芥川賞候補作でもある。

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これはペンです
円城 塔
新潮社 2011年



2020年12月7日月曜日

読了メモ「上林 暁 傑作小説集 星を撒いた街」山本善行 撰





読了。

ずいぶんと前に購入し、ずっと積読になっていた本だった。

私小説というのはこういう作品をいうのだろうか。
解説にもそう書いてあったし、
帯にも 30年後も読み返したい美しい私小説 とある。

中身は七つの短編からなっていて、
庭に生えていた月見草の話、
田山花袋や島崎藤村と交流があり、目の前の通りを歩く歌人のお爺さんの話
文学全集の販売に全力をあげる若い書店員の話
長患いの妻との話
など。

それぞれの話は、淡々と書かれていて、
文章に無理がなく、すーっと頭の中に入っていく。
帯に書かれていた通り、美しい文章なのだ。
それに、登場人物の動きや所作に
無駄がないように読めるのが不思議だ。

本書のタイトルにもなっている
「星を撒いた街」はその最たるもの。
ややネタバレになってしまうが、
眼下に広がる星々の瞬きがとても綺麗に書かれている。
その星の下で営まれている貧しい人たちの生活。
帰り道のひんやりと冷めた空気が伝わってくる。


30年後には、もう自分はヨボヨボの爺さんであろうが
その頃に本棚から取り出して
静かに読み返したい一冊である。

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上林 暁 傑作小説集 星を撒いた街
上林 暁 著、山本善行 撰
夏葉社 2012年