ヘミングウェイは、高校生の頃だったか
ドツボにはまって読み漁りましたねぇ。
「武器よさらば」「誰がために鐘は鳴る」
「日はまた昇る」「海流の中の島々」等々。
懐かしい思い出の作家さんです。
もちろん、本書も当時読みました。
で、30年以上経ってからの再読です。
高校生の頃に読んだ時の感想なんて
とっくに吹き飛んでいるんですが、
骨だけになった魚に群がる他の漁師達を見ながら
小屋で横になっている老人の
寂しそうなイメージだけは記憶に残っています。
今回、改めて読んでみて、
老人サンチアゴの一つ一つの動作が
目の前にあるように繊細に描かれているのが素晴らしく
船でのカジキやサメとの格闘はもちろんなのですが、
港や小屋で静かに一人でいる時の
老人の手のカサカサした感触や
白髪混じりのじゃりじゃりした髭の感じなど
なんとも言えない臨場感があります。
まるで、明るい単焦点のレンズで
老人を浮き出させたような画像が
頭の中に浮かんできます。
場所はフロリダだったと思うのですが
ヘミングウェイの住んでいたという家に
実は行ったこともあるんです。
2階に書斎があって、
周囲は大きなシュロの木で囲まれていたと思います。
書くのも恥ずかしいですけれど
青春時代の心に浸るものを感じ
あと書きも参考資料も付いていたのですが
読後には全く不要でした。
なんとも表現しにくいのですけど
こういう感覚、大切にしたいですね。
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老人と海
E・ヘミングウェイ 高見 浩 訳
新潮社 2020年
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