読了。
今年は、今まで読んだことのない分野に挑戦したり、
挫折してそれっきりになっている書籍に
また再びあたっていきたいなと密かに思っており、
その手始めとして、プラトンを手にとってみました。
本書は、ソクラテスと、題名にもなっている
パイドロスの二人の対話形式になっています。
時は、紀元前五世紀の終わり近く
真夏のアテナイ郊外を流れるイリソス川のほとりの
プラタナスの木陰で交わされている話です。
話は当時の高名な弁論作家のリシュアスが唱えた
「恋している者よりも
むしろ恋していない者に身をまかせるべき」
という主題から始まり、
恋する者とは、必然的に嫉妬深くなり
愛人とは確かに快い人間になるが
我が身を最も毒するものになるだろう。
などなど、想定していたより柔らかい話が
交わされていきます。
これまで、哲学書を読んでも、
自分が正しく理解できたかどうかは怪しく、
例えば、自分がパイドロスの主張を読んで理解したとして
次にソクラテスが、その通りだよパイドロス。と言って
内容を確かめて話を進めてくれるので、
そう言った観点では、理解しやすい哲学書だと思います。
後半は弁論術について語り合い、
言論は魂の誘導の一種であるとソクラテスは説きます。
そして、人は真実を知らずに、
相手がどう考えるかという言論の技術を追求するのは笑止千万であり
語る技術の資格もないといいます。
そして、二人で言論の事例を探し合ったり、
本性の問題を追求する際、
それは単一なのか、多種類なのか、
能動的なのか、受動的なのか、
これらはお互いにどのような作用を与え合うのかを
見ていかなければならないなどと説いていきます。
数多くの訳註があって、
そちらのページも見ながらなので
読みにくいかもしれませんが、
本文のページ数はそれほど多くないので
チャレンジしやすいと思います。
自分でも、あのプラトンの本を読了できたことに
ちょっと感動しました。
何事もやってみないとわかりませんね。
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パイドロス
プラトン
岩波書店 2019年
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