2021年6月17日木曜日

読了メモ「人新世の『資本論』」斎藤幸平



読了。

珍しくこんな分野の本を読んでみた。
早々と2021年新書大賞1位を獲っている。

地球温暖化やオゾン層の破壊、環境問題などが言われて久しい。
そして格差社会、ここにきて世界規模の感染症の広まり。
人々が不安になるのもいたしかたない。

これらの地球規模的な危機に対して、
著者はマルクスの資本論を発展的に考察し、
人類が考えるべき経済思想を考察している。

ポイントは、結局、地球は一つしかないということ。
かつての南北問題をグローバルサウスという
ボーダーレスの言葉に置き換えて
外部不経済や環境負荷の転嫁はもはや限界だと。

二酸化炭素の排出についても
当事者である全人類が、
著者の言う帝国主義的生活様式を
根本的に変えていかなければ、
気候変動に立ち向かうことなどできないという。

では、どうするのか。
無限の経済成長を目指す資本主義から脱却するしかない。
供給過剰を是正するというのだ。
経済成長の限界を、民主主義の力で
自ら定めていかなければならないという。
「欲」があり「賢い」人類にとっては難しい命題だ。

人新世は、著者が作った造語である。
地質学的に現在は、新生代第四紀完新世にあたる。
著者は現代を人新世と定義し
地球規模で人類が採るべき道を示唆している。
著者がタイトルの地質年代の造語を付したのは
相当の時間がかかることを意味しているからなのだと思う。

はじめの一歩を踏み出さないと
コンフリクトとの対峙も、
目指すアクションも何も始まらないということか。

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人新世の「資本論」
斎藤幸平
集英社 2021年

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