読了。
二十四篇からなるショートストーリー&エッセイ集。
二十四篇からなるショートストーリー&エッセイ集。
どれも、都市や街並み、近所の住人や
すれ違う人たちとの出会いや交流を描いている。
のだけれど、どれも切なく寂しくて、儚いイメージを抱くお話ばかり。
本書の途中途中に挟み込まれているモノクロの写真をみると
よけいにそんな気が増してきてしまう。
タイトルにもなっている「図鑑少年」というお話は、
館外貸出のできない図書館で調べ物をしていて
鉛筆同士がコツンとぶつかり合った音から思い出した子どもの頃の話。
小学生の頃、ツジ君という男の子がいて
その子の家に遊びに行ったことがあった。
洋間で待たされていると、植物、動物、昆虫、魚、鉄道、星座。。。
膨大な図鑑を自慢げに持ってきて見せてくれた。
仲の良い友だちだったが、いつのまにか疎遠となる。
二十年以上経った時、ツジ君が心臓発作で他界したことを知る。
焼香に行き、ツジ君の遺影を見るが
子どもの頃の顔をなかなか思い出せない。
洋間を見渡すと見覚えのある箱があり
中には短い鉛筆が入っていた。
箱を振った時の音が、
小さな骨のぶつかり合う音に聞こえてしかたがなかった。
こんなお話でした。
他には、どこにもない「五十円公園」を探す話や
カラスが多くて、放たれたミドリガメがいる池のある公園近くの自宅で、
門の柵につかまり立ちする飼いウサギを色々な人間が愛ていく「散歩者」。
などなど。
不思議でミステリアスな話が多かったけれど、
読んでいると、変に落ち着く感じのするお話ばかりでした。
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図鑑少年
大竹昭子
小学館 1999年
※下記は文庫本でのご案内です。
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