「誓願」は「侍女の物語」の続編です。
いわゆる、ディストピア小説と言われるお話を
一気読みしてみました。
男女別階層社会、同性間でも階級があって
侍女はその最下位にあたります。
階層別に服も決まっていて、侍女は赤い服です。
物語は、二十二世紀初めに学会か大学のようなところで
議論されるギレアデという共和国に関する話です。
読み進めていくと、このギレアデという国は、
不思議なことに、アメリカ合衆国の中にあるようで、
しかも、存在していた時代は、現代とほぼ近い時代のようです。
1970年代のことを70年代と呼んでいましたから。
侍女は、言ってみれば子どもを産むための存在でしかありません。
食事や洗濯などをする召使の階層もありますが、侍女はさらにその下。
いつぞや、日本の社会的地位のある方が、
女性は「子供を産む機械」という発言をして大問題になりましたが、
ギレアデ共和国ではそれを地で行っています。
本書の中でも、侍女は二本の足をもった子宮にすぎないと書かれており、
女性らしい振る舞いも化粧も禁じられています。
大きな権力を持っているのは、富裕層ではありますが
社会生活の実質的な権限を掌握しているのは「小母」と呼ばれる女性たち。
戒律といいつつ実態は、自分達に都合の良い生活環境を構築しています。
男性の方はというと、司令官という階層が上層にあり、
正妻を持つが、ほとんど夫婦らしい会話もしない。
侍女の名前も、仕える司令官の名前によって変わる。
例えば、グレン司令官の侍女なら、オブグレンというように。
そして、側女として侍女が司令官の子どもを産む。
子どもを産めば、昇進もするし昇級の機会も与えられる。
でも、出産に失敗し続けた侍女の行く末は。。。
続編の「誓願」の後半では、10代の異父姉妹の侍女二人が
隣国カナダへ脱出する話があるのでまだ救われます。
「侍女の物語」は読んでいて、本当にいやな気分になった。
ディストピア小説として有名なのは
ジョージ・オーウェルの「1984」ですが、
これは高校生の頃だかに読んだけれど、
すっかり忘れてしまっており、再読しようと思っています。
ただ、本書2冊を読んだあとすぐには、ちょっと勘弁かな。
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侍女の物語
マーガレット・アトウッド 斉藤英治訳
早川書房 2020年
誓願
マーガレット・アトウッド 鴻巣友季子訳
早川書房 2020年
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