読了。
澁澤龍彦さんの数あるエッセイから選び抜びぬかれたエッセンス集。
最初のうちは、何を言っているんだろうと追いつけないところもあったけれど
だんだん面白くなってきてあっという間に読み終えてしまった。
澁澤さんは幻想文学的なイメージがあったし、エッセイもその通りでした。
文章のなかにでてくる作家や芸術家の名前なども調べてみるとディープな人物ばかりでした。
また、言いたいことをストレートに表現していて痛快だった。
「缶詰の味しか知らないアメリカ人はともかく....」
「おもしろくもない小説を我慢して読むやつは、
よほどのバカと考えねばならぬ」
「日本の戦後教育の大誤算の一つは、
ルビをなくせば漢字学習の民主化が徹底されると考えて、
あの便利なルビを極力一掃してしまったことであろう。
じつに馬鹿げた発想というべきだ」
など。
また、澁澤さんは、あの澁澤榮一の血筋にあたっており、
幼少の頃は広大な敷地の邸宅に住んでいた。
ただ、その邸宅についても
「昼でも暗い大きな屋敷が、陰気くさくてやり切れなかった」
と言っているし、外からでは分からない秘密の小部屋があったり、
精神を病んだ伯父が療養した奥座敷があったという。
幼少時代の環境が澁澤さんの文学思考に影響があったと思われます。
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