2024年5月5日日曜日

読了メモ「化石に眠るDNA 絶滅動物は復活するか」 更科 功



読了。

珍しく新書を読んだ。

わくわくする話であるが、話は淡々と展開される。
前半でDNAや遺伝子、タンパク質の話をきっちり行って
現生動物であってもDNAの複製を作ることがいかに難しいかを説明してくれる。
いわんや絶滅動物のDNAにおいておや。
この段階で本書の大筋の結論は見えている。

しかし、面白いのはむしろこれからで
「DNA複製」をめぐる世間の視線、SF映画への便乗、
過熱するメディア、助成金交付の駆け引きなど
実現が見定まっていないにも関わらず
この「界隈」は大いに盛り上がる。

もちろん、地球温暖化対策や
壊された生態系復元を目指して
取り組まれている事例なども紹介される。
永久凍土から出土したマンモス復活の取り組みは研究が続いているし、
クローン羊ドリーの生成なども成果のひとつだ。
ただ、マンモスにしてもドリーにしても
完全に全てのDNAが複製されるわけではない。
もっと言ってしまえば、クローン技術をもってしても
絶滅動物の復活には展望がないという。

また、そもそも論として本当に正しいことなのかという議論も続いている。


現在も研究は続いており、
あの「iPS細胞」にも注目が集まっている。
しかし、本書のあとがきにも書かれていたが、
人間が壊してしまって、一旦変化した生態系を
元に戻すなんてことこそ不可能ではないかと思う。


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 更科 功

 中央公論新社 2024年


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