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2016年2月14日日曜日

読了メモ「雨の日はソファで散歩」種村季弘




読了。

2年ほど前、著者の企画展が東京の板橋区であった。
ちょっと遠かったのだが、えっちらおっちら観に行ったことがある。

それ以来、著者の本を読もう読もうと思っていたところ
今回、最後のエッセイ集となった本書と出会うことができた。
部屋の本棚には著者の他の本はあるのだけれど
ついつい、気になっている作家の本を見つけると手にしてしまう。


作家仲間と飲み交わした話や東京の良き街並みの話、
晩年を過ごした真鶴での話までいろいろ。
茅ヶ崎にも住んでいたことがあったらしい。

その中で、日常食としての豆腐、幼児食への帰還の話は
意外にも首肯するところが多く、
自分も「食」について、そんな嗜好に向かうように
なってきたのかと思ってしまった。
実際のところ、以前に実家で、近所の豆腐屋製の
木綿豆腐を丸々一丁、薬味にネギとミョウガと鰹節で
いただいたことがあって大変美味しかったのを思い出してしまった。
著者によれば、デパートで買ってくる高い豆腐はごちそうであって
日常食ではないのだ。


東京の街並みについても
著者が若い頃は銀座がモダンだったが
今、銀座が古風になったのでまた行きたい
という感覚もわかるような気がするものの、
飲み屋に入っても、だらだらとねばらないという指摘があり
こっちはまだまだ自分の修行は足りないなぁと痛感。

そんな味のある話もあれば、若い女性との会話の中で、
藤村ゆかりの宿の話は単純に笑えたエピソードだった。

 
そして、最後の真鶴私邸でのインタビューに基づく
酒豪伝の話は、そうそうたる作家や
文化人の名前が連なり痛快で面白い。
作家なんてのはみんな引き篭もりだ なんて言ってはいますけど。

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雨の日はソファで散歩
種村季弘
筑摩書房 2005年
 

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