2016年12月31日土曜日

2016 Sunset


早い。本当に早い。
2016年がもう終わってしまう。

来たる新年をああしたい、こうしたいというのは
あまりに短視眼的な気がしてきた。
そんなことを思う大晦日の日没です。


今年も公私ともにいろいろな方々にお世話になりました。
本当にありがとうございました。
2017年も、そしてさらにその先も
よろしくお願いいたします。


2016 Sunset


2016年12月30日金曜日

読了 2016

 
今年もおかげさまでたくさんの本を読むことができました。
1月最初の 思い出のマーニー から始まって
先日にメモをアップした ちいさなちいさな王様 まで65冊。

昨年より少し増えたかな。
それでも、本棚、床、机の両サイドに読んでない本が
まだまだうず高くつみあがっています。


実はこれまでも作ってはいたのですが、
地元の写真展や甲府の古本市に持っていった読了メモのフォトブックが好評でした。
今までのはサイズが小さくて読みにくかったのです。それをA5判にし、本の写真もメモの文字フォントも大きくして読みやすくしてみたのでした。

あげくのはてには、先日、北鎌倉の某カフェに強引に置いてきてしまうという暴挙にでてしまいました。
お許しくださいませ。




一方、ここのところずっと出店している鎌倉のブックカーニバルでは、
本をお買い上げいただいたピアノ教室の先生からお声をかけていただき、
クリスマス会に呼ばれ、子ども達と一緒にウクレレを弾いたり
会場にいた親御さん達にウクレレを教えたり
久しぶりにソロ演奏をやっちゃったりもしたのでした。

好きな写真やカフェ、ウクレレに
自分の読んだ本が微妙に絡み合ったりして、
ちょっと面白い2016年だったのです。

そして、なんといっても多くの本に出会い、
また、それを通じていろいろな方々にお会いすることができました。
感謝の気持ちでいっぱいです。
来たる2017年も、懲りずに読んでいこうと思います。


さて、2016年に読んだ65冊の本の写真を
恒例のスライドショーにしてみました。
よろしければご覧下さい。




【読了2016リスト】

■思い出のマーニー
著者:ジョーン・G・ロビンソン
読了日:1月2日

■猫がゆく―サラダの日々
著者:長田弘
読了日:1月7日

■この世には二種類の人間がいる
著者:中野翠
読了日:1月13日

■あのころの未来 星新一の預言
著者:最相葉月
読了日:1月19日

■ティンブクトゥ
著者:ポール・オースター
読了日:1月24日

■優雅で感傷的な日本野球
著者:高橋源一郎
読了日:1月30日

■この空を飛べたら
著者:中島みゆき
読了日:1月31日

■コーヒーを楽しむ。
著者:堀内隆志
読了日:2月6日

■謝るなら、いつでもおいで
著者:川名壮志
読了日:2月8日

■雨の日はソファで散歩
著者:種村季弘
読了日:2月14日

■落語家論
著者:柳家小三治
読了日:2月19日

■それからはスープのことばかり考えて暮らした
著者:吉田篤弘
読了日:2月23日

■うし小百科
著者:栗田奏二
読了日:2月29日

■最後の授業 心をみる人たちへ
著者:北山修
読了日:3月5日

■スープの国のお姫様
著者:樋口直哉
読了日:3月10日

■詩めくり
著者:谷川俊太郎
読了日:3月16日

■不器用な愛
著者:串田孫一
読了日:3月18日

■死を悼む動物たち
著者:バーバラ・J・キング
読了日:3月28日

■タマや
著者:金井美恵子
読了日:4月2日

■私の体を通り過ぎていった雑誌たち
著者:坪内祐三
読了日:4月9日

■ど制服
著者:酒井順子
読了日:4月13日

■森の人 四手井綱英の九十年
著者:森まゆみ
読了日:4月18日

■平和通りと名付けられた街を歩いて 目取真俊初期短編集
著者:目取真俊
読了日:4月24日

■魔女の宅急便
著者:角野栄子
読了日:4月27日

■「悪」と戦う
著者:高橋源一郎
読了日:5月1日

■昔、そこに森があった
著者:飯田栄彦
読了日:5月8日

■ブラ男の気持ちがわかるかい?
著者:北尾トロ
読了日:5月12日

■どれみそら 書いて創って歌って聴いて
著者:阪田寛夫
読了日:5月17日

■いじわるな天使
著者:穂村弘
読了日:5月20日

■僕の虹、君の星 ときめきと切なさの21の物語
著者:ハービー・山口
読了日:5月29日

■黒い玉 十四の不気味な物語
著者:トーマス・オーウェン
読了日:6月3日

■走れメロス
著者:太宰治
読了日:6月8日

■ヴィヨンの妻
著者:太宰治
読了日:6月15日

■コンセント
著者:田口ランディ
読了日:6月20日

■世界を変えた野菜読本 トマト、ジャガイモ、トウモロコシ、トウガラシ
著者:シルヴィア・ジョンソン
読了日:6月26日

■総理大臣になりたい
著者:坪内祐三
読了日:7月2日

■語るに足る、ささやかな人生  アメリカの小さな町で
著者:駒沢敏器
読了日:7月9日

■イマジネーションの戦争
著者:星野智幸
読了日:7月20日

■トリツカレ男
著者:いしいしんじ
読了日:7月23日

■流星ひとつ
著者:沢木耕太郎
読了日:7月28日

■星の詩集
著者:宮沢賢治
読了日:7月30日

■あたまの底のさびしい歌
著者:宮沢賢治
読了日:8月1日

■砂漠でみつけた一冊の絵本
著者:柳田邦男
読了日:8月6日

■1973年のピンボール
著者:村上春樹
読了日:8月9日

■憑かれた鏡 エドワード・ゴーリーが愛する12の怪談
編者:E・ゴーリー
読了日:8月18日

■遊覧日記 武田百合子全作品6
著者:武田百合子
読了日:8月22日

■書物の変 グーグルベルグの時代
著者:港千尋
読了日:8月29日

■妖怪天国
著者:水木しげる
読了日:9月4日

■朗読の時間 中原中也
著者:中原中也
読了日:9月6日

■全ての装備を知恵に置き換えること
著者:石川直樹
読了日:9月12日

■女医裏物語 禁断の大学病院、白衣の日常
著者:神薫
読了日:9月19日

■退廃姉妹
著者:島田雅彦
読了日:9月28日

■サンドウィッチは銀座で
著者:平松洋子
読了日:10月5日

■さようなら、ゴジラたち 戦後から遠く離れて
著者:加藤典洋
読了日:10月14日

■エルマーと16ぴきのりゅう
著者:ルース・スタイルス・ガネット
読了日:10月18日

■街の人生
著者:岸政彦
読了日:10月25日

■現代日本語文法入門
著者:小池清治
読了日:11月2日

■村上春樹にご用心
著者:内田樹
読了日:11月7日

■カリコリせんとや生まれけむ
著者:会田誠
読了日:11月13日

■水声
著者:川上弘美
読了日:11月18日

■文学が好き
著者:荒川洋治
読了日:11月24日

■空飛ぶ男 サントス・デュモン
著者:ナンシー・ウィンターズ
読了日:11月30日

■しなやかに心をつよくする音楽家の27の方法
著者:伊東乾
読了日:12月8日

■クリスマス・ボックス
著者:リチャード.ポール・エヴァンズ
読了日:12月14日

■ちいさなちいさな王様
著者:アクセル・ハッケ
読了日:12月18日


2016年12月29日木曜日

読了メモ「ちいさなちいさな王様」アクセル・ハッケ



読了。

大人の絵本という紹介だった。
ちゃんと文字のページの方が多いお話だけれども
挿絵の空気感と絵のさしこまれるタイミングが絶妙によくて
「絵本」と紹介されてもうなずける。

中身はどちらかというと哲学的。
なにせ、この王様の種族は
大人になるにつれて小さくなっていくのだ。
生まれたときは大きくて、だんだんと小さくなっていき
しまいには見分けがつかなくなるという。

主人公の「僕」はサラリーマンで、
このちいさな王様と夢の話をします。
昼間の仕事に追われているサラリーマン生活が
実は夢ではないのかと。
夜になってベッドに入ると目を覚まして
好きなことをしている本当の姿に戻れるという。
その方がいろいろ変化があって楽しい。
昼間のことなんて単なる夢だと。

そして、王様は小さくなるのは自分たちだけではなく
「僕」も小さくなっているんじゃないのかと言ってきます。
ここのくだりはお話の最初のところにでてきて、
もうここでガツンと言われちゃうんです。
子どもの頃はとっても大きかったのに、
大人になっていくにしたがって小さくなっていないかって。


王様の描いた絵を「絵持ち」のところへ届けにいく話は
とってもファンタジックで楽しい。
頭の中にはたくさんの絵があって、
そのなかには一度しか見ることのない絵があるかもしれないけれど、
その絵は頭の中に必ずあるんだよって言ってくれるのが
なんか無性に嬉しくなる。

そんなちいさな王様がいないことにすら気づかないのはあまりに寂しい。
この本を読んだら、ちいさな王様がすぐそばにいるのがわかりますよ。きっとね。

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ちいさなちいさな王様
アクセル・ハッケ
講談社 2014年

2016年12月24日土曜日

読了メモ「クリスマス・ボックス」リチャード・P・エヴァンス




読了。

早いもので、今年もクリスマスの時期を迎えました。

毎年のことながら、この時期に向けて
街中が光に溢れ、クリスマスの音楽が流れて気持ちも華やぎます。
年の瀬で一年を振り返る時節ということだけでなく、
個人的な話になるけれど、自分のためのような錯覚がいつもあって
センチメンタルな気持ちにひたれる時期です。

そんな時に合わせてクリスマスの本を読みました。
この時期にクリスマスの本を読むなんていつ以来でしょうか。
クリスマス・キャロルを読んだのはいつだったかな。

お話はいたってシンプル。
よけいな思いを巡らす必要はありません。
そのまま読んで心にしみこませてください。
愛する人と過ごす時の大切さを感じることができると思います。

話の舞台は主人公家族が住み込むことになる大きな屋敷と
クリスマス・ボックスのある屋根裏部屋。
鍵になるのは箱の中の手紙、裏庭の天使の像。
もうファンタジー感いっぱいです。

屋敷の主であり、主人公家族を雇っているのは一人の老女。
最初のクリスマスの贈り物は何か。彼女は主人公に問い続けます。
彼は洋服の仕立て販売をしているのですが
あるお客との子供服の仕立ての話、
妻から知らされる老女の持つ聖書のエピソードや
娘との会話、そして箱の中の手紙を通じて
主人公は最後にやっと気づくのです。


最初のクリスマスの贈り物ってなんだと思いますか。
きっとわかると思います。

Merry Christmas....


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クリスマス・ボックス
リチャード・P・エヴァンス
講談社 2001年

2016年12月17日土曜日

読了メモ「しなやかに心をつよくする音楽家の27の方法」伊東 乾



読了。

音楽の話かなと思ってたらそうでもない。
プロローグに、聴衆を前にして演奏であがらないためには.....。
という話はあるけれど、
本編の方は、音楽家向けというよりは
もっと幅広く、これからの日本を担う
若い世代に向けたメッセージと捉えられると思います。
著者は指揮者ということもあり、
経営者やビジネスマンを意識した話もあった。
まぁ、それもそのはずで、ビジネス誌に連載されていた
コラムを編纂したものだったのでした。

すべてに共通するのは、「終わりなき独学者」であって
自分自身が採点者であること。
世に言われる「何のために学校にいくのか」
「・・・のためには何をしなければならないか」
という問いに対して厳しくコメントしています。
著名な指揮者や音楽家は、必ずしも有名な音楽学校を出たわけでもない。
学生時代の専攻分野が音楽と全く無関係な人ばかりだというのです。
また、アルゼンチンの勤労学生が日本にきて
何社かの工場で働いたあと、
お金よりも自分の人生や人間の本当の幸せが大切だ。
と言って帰国するのです。
あの宮沢賢治も言う「ほんとうのさいわい」
を共通にするこのエピソードが
最後まで自分の心の中に残りました。
ほんとうのしあわせって何か。
この本で最後まで問い続けていることのように思います。

常識や慣習にとらわれない判断と
愚直な行動、著者がいうところの「バカになる」ことで
自分の道を見つけていく。
その過程が、音楽家の場合は「リハーサル」つまり「練習」。
そして、知ったかぶりはしない。知ってることが偉いことではない。
「無知の知」から出発することの大切さ。
わけ知り顔のロートルが経験を振り回して言うアレコレに萎縮しなくていい。

ちょっと、耳が痛いような話もあったのでした。

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しなやかに心をつよくする音楽家の27の方法
伊東 乾
晶文社 2014年





2016年12月11日日曜日

読了メモ「空飛ぶ男 サントス−デュモン」ナンシー・ウィンターズ



読了。

知らなかった。
人類の飛行史の中で著名な人物と言って思い浮かぶのは、
ライト兄弟、リンドバーグくらい。

彼らにまつわる話を読んでいるわけではないので
比べるのはどうかと思うけれど、
普段はもちろん、飛行の時でも襟の高いシャツをきて
ヒゲを生やしたオシャレないでたち。
当時は空を飛ぶというだけで、世間の注目を一手に集めるのに
それを気にも止めないかのような自分のスタイルで
颯爽とやりすごす様はなかなかイカすのです。
うん、かっこいい。

それは、外見だけではない。
彼は飛行中の時間を知るために、
世界初の腕時計をあのカルティエと作ってしまう。
そしてそれが今でもブランドとしてしっかり息づいている。
値段もすごいのだけれど、こういう形で古の飛行家の意思が
時代を超えて継がれているのは尊ささえも感じるものです。

また、自らの製作した気球、飛行船、飛行機についての
特許権は全て放棄していたそうです。
空はみんなのもの、独り占めにできるものではない、
大空を滑空するのは全人類の持つ夢ということなのでしょうか。

ただ、人類はその飛行の技術を使って戦争に突入します。
飛行機を使って都市を破壊し、多くの人の命を奪っていく。
いたたまれなくなったサントスは鬱病になり、自らの命を絶ってしまう。


最後のサントスの悲劇を読みおえた時、
ちょうどノーベル賞の授賞式のニュースもあって思ったのです。
だれも人を殺すために、未知の発見や技術の開発に寝食を忘れ、
汗水たらして新しい産業を興したりするのではないでしょう。
人類の叡智はまだまだ使いきれていないと。

ちなみに、サントスが最初に作った気球には
日本産の絹と竹が使われたそうです。

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空飛ぶ男 サントス−デュモン
ナンシー・ウィンターズ
草思社 2001年
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2016年12月3日土曜日

読了メモ「文学が好き」荒川洋治



読了。

この本も、タイトルからすると
硬い文学評論とイメージされるけれど
意中の本の紹介だったり随想だったりとそうでもない。

その中に、「言葉がない」というエッセイがあった。
世には様々な語句や表現があり
ある分野の様子や状態を表す言葉は実に豊富にある。
一方で、そうでない分野もあることも確かだ。
たとえば、「批評」。この「批」という文字には
「うつ」とか「なぐる」「せめる」という意味が原義にあるそうで、
著者としてはもう少し程度のやわらかいきつくない言葉が欲しいという。
他にも、「さわやか」「可憐」
「人生」「幸福」「自然」などの類語が不足していると。
言葉に抱く感覚が個人個人では違うなかで、その不足にぶつかった時に
そこをどう補っていくかと思考するのは楽しくもあり苦しくもある。

今回もそうだったが、詩を書く人の文章って
心が落ち着く。穏やかになる。
ここ数年、本を何冊か読んできて、
あっ、これって素敵だな、いいなと感じてきたものが二つある。
一つは児童文学。もう一つは、詩人の文章だ。
特に詩人の文章の行間がいい。

茨木のり子さんの詩集を紹介する話があった。
いつまでもいい詩集「倚りかからず」
詳細は触れないけれど、最後にあった
この詩は、読者をゆたかにもする。まずしくもする。
という結びが、この詩の存在感をぐっと持ち上げている気がする。


巻末には著者が選んだ「一年一作百年百編」というコーナーがある。
1900年から1999年の百年間で発表された文学作品(主に小説)から
一年一作の条件で百編を選んだもの。
同じ作家は二度選ばない条件で選出したそうだ。
2〜3行の紹介文つき。
これから読む本の参考にしたい。

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文学が好き
荒川洋治
旬報社 2001年