読了。
音楽の話かなと思ってたらそうでもない。
プロローグに、聴衆を前にして演奏であがらないためには.....。
という話はあるけれど、
本編の方は、音楽家向けというよりは
もっと幅広く、これからの日本を担う
若い世代に向けたメッセージと捉えられると思います。
著者は指揮者ということもあり、
経営者やビジネスマンを意識した話もあった。
まぁ、それもそのはずで、ビジネス誌に連載されていた
コラムを編纂したものだったのでした。
すべてに共通するのは、「終わりなき独学者」であって
自分自身が採点者であること。
世に言われる「何のために学校にいくのか」
「・・・のためには何をしなければならないか」
という問いに対して厳しくコメントしています。
著名な指揮者や音楽家は、必ずしも有名な音楽学校を出たわけでもない。
学生時代の専攻分野が音楽と全く無関係な人ばかりだというのです。
また、アルゼンチンの勤労学生が日本にきて
何社かの工場で働いたあと、
お金よりも自分の人生や人間の本当の幸せが大切だ。
と言って帰国するのです。
あの宮沢賢治も言う「ほんとうのさいわい」
を共通にするこのエピソードが
最後まで自分の心の中に残りました。
ほんとうのしあわせって何か。
この本で最後まで問い続けていることのように思います。
常識や慣習にとらわれない判断と
愚直な行動、著者がいうところの「バカになる」ことで
自分の道を見つけていく。
その過程が、音楽家の場合は「リハーサル」つまり「練習」。
そして、知ったかぶりはしない。知ってることが偉いことではない。
「無知の知」から出発することの大切さ。
わけ知り顔のロートルが経験を振り回して言うアレコレに萎縮しなくていい。
ちょっと、耳が痛いような話もあったのでした。
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しなやかに心をつよくする音楽家の27の方法
伊東 乾
晶文社 2014年
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