読了。
大人の絵本という紹介だった。
ちゃんと文字のページの方が多いお話だけれども
挿絵の空気感と絵のさしこまれるタイミングが絶妙によくて
「絵本」と紹介されてもうなずける。
中身はどちらかというと哲学的。
なにせ、この王様の種族は
大人になるにつれて小さくなっていくのだ。
生まれたときは大きくて、だんだんと小さくなっていき
しまいには見分けがつかなくなるという。
主人公の「僕」はサラリーマンで、
このちいさな王様と夢の話をします。
昼間の仕事に追われているサラリーマン生活が
実は夢ではないのかと。
夜になってベッドに入ると目を覚まして
好きなことをしている本当の姿に戻れるという。その方がいろいろ変化があって楽しい。
昼間のことなんて単なる夢だと。
そして、王様は小さくなるのは自分たちだけではなく
「僕」も小さくなっているんじゃないのかと言ってきます。
ここのくだりはお話の最初のところにでてきて、
もうここでガツンと言われちゃうんです。
子どもの頃はとっても大きかったのに、
大人になっていくにしたがって小さくなっていないかって。
王様の描いた絵を「絵持ち」のところへ届けにいく話は
とってもファンタジックで楽しい。
頭の中にはたくさんの絵があって、
そのなかには一度しか見ることのない絵があるかもしれないけれど、
その絵は頭の中に必ずあるんだよって言ってくれるのが
なんか無性に嬉しくなる。
そんなちいさな王様がいないことにすら気づかないのはあまりに寂しい。
この本を読んだら、ちいさな王様がすぐそばにいるのがわかりますよ。きっとね。
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ちいさなちいさな王様
アクセル・ハッケ
講談社 2014年
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