読了。
短編です。本文わずか32ページ。
たしか「レキシントンの幽霊」の短編集の中にもあった一編。
こんな形で一つの話だけを読んでみると
なぜか読後感もぐっと違うものだなと思う。
本書は全国学校図書館協議会から
「集団読書テキスト」として刊行されたもの。
なので、高校の授業などで、
副読本として読んだ人もいるのではないでしょうか。
さすがに、自分の時はなかったですが。
著者の小説としては、大変わかりやすい部類。
話の対象となっている相手の人物に
自分自身を実は投影させいて、
自己批判をしているのではないかと途中まで思っていると、
最後のところは、良識な一般受けするように
そうまとめちゃうのかという感じで
個人的には村上春樹の小説らしくない気もする。
結局、最後は飲みに行くようですが。
とは、言うものの、
自らの考えを明確に持たず、表明もせず責任も持たず、
周囲の動きに賛同も批判もなく、ただ流されていく大衆ってやはり怖いですね。
大きな胎動の中で、一人一人の考えや思いが生み出す力は
確かに小さく、影響度としては微々たるものかもしれないけど
一人の人間として、信念や態度、ブレない考え方の軸は持っておきたい。
そんなこと一時間もかからず読めるお話です。
是非。
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沈黙
村上春樹
全国SLA集団読書委員会 2009年
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