2017年3月22日水曜日
読了メモ 「東京飄然」 町田 康
読了。
表紙には、
作家のとらえた幻想的な東京
とある。
あえていうなら関西出身の著者による
紀行エッセイとでも言うのかもしれないが、
実は、東京を離れて鎌倉を巡って八幡宮や江ノ島に行ったり、
関西名物の串カツを求めて、その本数とソースのタッパの有無に
しつこいほどのこだわりをみせながら銀座をぶらぶら巡り、
銀ぶらという呼称について評論をかましてみたり、
ロックな魂を求めては高円寺に足を伸ばしている。
しかし、悲しいかなブーツは持ってないのだそうだ。
飄然となってなくてはいけないということで
目的を持って移動することはしないという。
それで、切符を買うことさえも躊躇してしまうのだが、
はて、いまでこそICカード乗車券全盛なわけだから
まさに飄然たる行動がとりやすい時代になっているのかもしれない。
江ノ電に乗って江ノ島に行き、
エスカーやサムエル・コッキング苑、岩屋洞窟に興奮していて、
妙な既視感もあいまって面白い。
飄然と歩くと漫然と歩くことは著者にとっては違うものらしい。
無目的であることには変わりはないようなのだが、
せっかくここまで来たのだから、
せめてお詣りでも行っておいた方がいいかと
大勢が向かう方向にぞろぞろ歩くのが漫然で、
ここまで来ておきながら、
お詣りしないとバチがあたるかもしれないが、
バチの当たる順番は永久的にこないだろうから
あえてお詣りしないという反目的に歩くのが飄然らしい。
全編、こんな感じである。
見開きで何枚もおさまっている街の写真もいい。
ぶつぶつ言っているのが異常な感じすらして面白いのであるが、
やや屁理屈っぽい。なかば言葉遊びのようなところもある。
そんな話につきあいながら一緒に歩く感じで読むことになる。
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東京飄然
町田 康
中央公論新社 2005年
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