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2021年2月4日木曜日

読了メモ「会社の人事 中桐雅夫詩集」中桐雅夫





読了。

久しぶりの詩集。 

作者の中桐氏は、翻訳家でもあり
SFやサスペンスなどで早川書房などから
数多くの翻訳本を出している。


一方、この詩集のインパクトはすごい。
タイトルからしてそうだが、
相当の信念を持って挑んだ詩集なのでないかと思う。
言葉一つ一つを丁寧に扱いながらも、
自身の人生の思いを詩の言葉の中にぶち当てている。

「嫌なことば」という詩がある。
始まりの二行と最後の二行を引用してみる。


 何という嫌なことばだ、「生きざま」とは、
 言い出した奴の息の根をとめてやりたい、

   ===<中略>===

 生きていてどれほどのことができるのでもないが、
 死ぬまでせめて、ことばを大切にしていよう。



タイトルにもなっている「会社の人事」にしても
今のご時世では、見聞きされないようになってしまった光景や
一人寂しく、うつむいて帰路につく会社員の姿が浮かんでくる。
そんな詩が62編、綴られている。


以前から、詩人の書く作品は行間が好きだ。
と、自分は言ってきたが、
本書の詩はまた少し違うように思う。
勢いがすごくあるのだ。
言ってみれば、作者の覚悟というものを感じる。
行間を読んでいる暇がない。


ただ、それぞれの詩の最後の一行を読み終えたあと、
サスティーンが心の中にずっと響き続ける。


ちなみに、全て音読しました。
やはり詩は音読に限ります。


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会社の人事
中桐雅夫
晶文社 1981年



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