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2021年2月28日日曜日

読了メモ「<私>はなぜカウンセリングを受けたのか 『いい人、やめた!』母と娘の挑戦」東ちづる・長谷川博一




読了。

冒頭、著者である東ちづるさんのカミングアウトから始まります。
ご本人曰く、自分はAC(adult children)なのだと。

本書の定義によると

【アダルト・チルドレン adult children】
    幼少期から過度の責任を負わされ、
    子どもらしい幼少期を味わえなかったことにより、
    精神的不安定な対人関係の問題を引き起こしやすい性格が
    形成された人のことをいう。

表面の字面からは、「大人びた子ども」なんて、
短絡的に勘違いしそうですけれど
深刻な辛い疾患なんだとこの定義を読むだけでもわかります。

本書の構成としては、東さんご本人と東さんのお母さん
そして、臨床心理士の長谷川博一先生によるカウンセリングの模様、
その合間に、東さんのエッセイが織り込まれています。

カウンセリングは12回実施されて、うち9回分が掲載されてます。
最初は東さんと先生の二人だけ、そのうちお母さんも交えた
3者でのカウンセリングが始まります。

長谷川先生は細かいところを一つ一つ聞いて
解きほぐしていってくださるのがよくわかるのですが、
自分からすると、母親を交えたカウンセリングをする、
もうそれだけで、半分以上、
ACを克服できたんじゃないかと思うくらいです。

タイトルにもなっている「いい人」。
これって、「他人にとってのいい人」なんですよね。
それじゃ、自分はどうなの、自分はどうしたいの、
って問われると答えが見つからない。
自分が何かをしようとしても
あの人に負担をかけてしまう、迷惑をかけてしまう、
という考えが、ついよぎってしまう。
子どものころは、xxちゃんは偉いね〜
といつも言われ続けてきた。
これ以外にも、東さんを取り巻く環境、
生まれ育った場所、お母さんのこと、お父さんのこと、仕事のこと、
彼女が心を悩ませていることが赤裸々に綴られています。

自分とは何か、家族とは何か、
これまで何度か思いをめぐらし考えたことのあるテーマですけれど
またここで改めて考える機会をもらいました。

読書って、こういうことがあるからやめられません。

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<私>はなぜカウンセリングを受けたのか
    『いい人、やめた!』母と娘の挑戦
東ちづる・長谷川博一
マガジンハウス 2002年


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