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2016年3月19日土曜日

読了メモ「スープの国のお姫様」樋口直哉



読了。

表紙に描かれている絵と
登場する「千和」という女の子のイメージは
ちょっと違うと思う。千和はもう少しキリッとしている。

主人公は、古い洋館に雇われたシェフ。
その洋館の主人であるマダムは、スープしか口にしない。
千和はマダムの孫娘で、洋館の中に自分の書庫を持ち、
料理に関するあらゆる本を読破している。

主人公は洋館を訪れる客人のリクエストや
ケータリングサービスに応じたスープを作っていく。
話の章立てもそのスープの名前になっている。

1.ポタージュ・ボンファム
2.ビールのスープ
3.ロートレックのスープ
4.偽ウミガメのスープ
5.せかい1おいしいスープ

ただ、「味がどこか違う」とか「何かが足りない」と言われ、
千和の料理についての豊富な知識や
洋館の執事であり優秀な給仕であるキサキのアドバイス、
料理の材料をすぐに届けてくれるモリノの協力をえながら
主人公のスープはずっと追い求めてきた味に少しづつ近づいていく。

途中、マダムの妹が出てくる。
妹も別の洋館に住んでいて、話の中では、
不思議の国のアリスのハートの女王みたいと書かれているけれど
自分としては、千と千尋の神隠しの湯婆婆と重なる。
執事のキサキと共に、このマダムの妹が後半の展開の鍵を握る人でもある。


著者自身が料理人でもあることから、
洋館のキッチンの雰囲気や細かい描写が目に浮かび、
スープを作るくだりの部分は読んでいるだけで
美味しいスープの香りがただよってきそう。
また、ミステリーのようなハラハラな展開とは言えないけれど、
探しているスープに徐々に近づき包囲網が狭まっていくところも面白い。

なお、ロケーションは、
湘南地方の別荘地だった頃の面影が残る一角と
書かれていて鎌倉っぽいけど、
自分の感じでは大磯なのかなとも思っている。

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スープの国のお姫様
樋口直哉
小学館 2014年

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