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2016年3月5日土曜日

読了メモ「うし小百科」栗田奏二



読了。

導入部分は、世界における牛の分布や
家畜としての牛の特徴が紹介されていている。
ところどころ、スマートなイメージの
馬と比較されているのが読んでいて面白い。

古代オリエントどころかもっと古い時代からの家畜としての歴史や、
乳・肉・役の三つの役割を担った品種の多さから、
牛が人間の生活にいかに古くから関わってきたかがわかる。

乳、肉や内臓は勿論、舌や尻尾まで食するし、
田畑を耕し運搬するにも牛の力は必要だったし、
医療の面では、天然痘を抑制するのに役立ったり、
神がやどり信仰の対象になっている地域もある。
牛と人間との関わりは長くて深く広い。


さて、牛についての本や文学、雑話って何があっただろう。。。

この本でちょっとだけ紹介されていて懐かしい思いがしたのは、
牛が自分の歯を馬に貸したのだけれど、
返してもらえなくなって、結局、牛の前歯がなくなったという話。
どうやらベトナムのお話らしいが、
子どもの頃に読んだか聞いたかしたことがある。

俳句では、「春風や牛にひかれて善光寺」なんてのは有名かな。

故事ことわざも意外に多く、それだけ牛は身近な存在だったのでしょう。
実力で支配することを「牛耳る」とよくいうけれども、
本来は、「牛耳を執る」ということで
もともとは、牛の耳を割く牛刀を執る卑者のことだったとか。

「牛の尻」ってどういう意味だかわかりますか?
牛の鳴き声の「モウ」にかけて、「物識り」という意だそうです。


歴史的な事件との関わりでは
生類憐みの令の時代、赤穂浪士の大石内蔵助が
堀部弥兵衛へ牛肉を贈ったことがあったとか、
桜田門外の変では、井伊直弼が
牛肉登城の儀式を廃止したことも背景にあるとか、
日本は肉食というより、魚というイメージがあるけれど
牛もかなり入り込んでいるようです。

ちなみに、日本で初めて牛乳が用いられたのは
7世紀の中頃、ちょうど大化の改新の頃で
当初は薬用で使われていたと。


牛はうしでも丑もありました。
「土用の丑の日」
これは、かの平賀源内が、鰻屋を繁盛させるべく
土用の丑の日に鰻を食べると病気にならないという貼り紙を
出させたのが始まりだとか。
なんか、今でもこういう日ってお菓子業界にもありますね。


う〜ん、牛肉食べたくなってきた。
牛丼屋に行ってきます! 

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うし小百科
栗田奏二
博品社 1996年



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