読了。
表紙にある象の表情、貴方にはどのように見えますか。
動物たちには悲しみにうちひしがれる感情があるのでしょうか。
近親の仲間を偲ぶ気持ちを持ち合わせるのでしょうか。
犬や猫、ウサギにはじまり、
ヤギなどの家畜やカラスや白鳥などの鳥、
そして、類人猿、象、イルカなど
数多くの動物たちで観察された驚くような事象をたどりながら
死について、同種間異種間における交流や友情について
動物行動学の観点から考察していきます。
ペットとして飼われる犬や猫、家畜など
身近な動物たちを取り上げる前段のところでは
人間による飼育環境下で人間好みの解釈、
きっと人間の気持ちと同じに違いないと
人間側が動物たちの頭の中を勝手に作り上げて
なおかつ、すべての動物がそうだと決めつけてしまっている。
とそんなふうに思って読んでいました。
しかし、その見方は象のところで大きく変わります。
チンパンジーやゴリラなど人間に近い類人猿の話よりも
自分には象のみせた行動のインパクトは大きかった。
思わず寄り添いたくなるような行動をする動物たちが実際にいます。
でも、その行動が本当にどういうことを意味することなのかは
数多くの事例から人間が推測するしかありません。
本書の中では、動物の自殺についての話もあり、
ここまでくると動物たちと話ができないのが本当に歯がゆく思います。
ここまでくると動物たちと話ができないのが本当に歯がゆく思います。
最後は、人間にも触れて、原始人は死をどう考えていたのか
進化の過程を経て、死に対する思いを人間はどのように深めてきたのか
と、読み進めてきた時、本書の範囲を逸脱して
この先の未来のことがよぎります。
この先の未来のことがよぎります。
将来、大きな発展を遂げるであろう人工知能。
死や命について、喪失を伴う悲しみについて、
彼は、はたして考えるようになるのだろうかと。
本書を読み終えて、表紙の象の写真をあらためて見直すと
不思議とやけに悲しげな目をしているなと見えてしまうのです。
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「死を悼む動物たち」
バーバラ・J・キング
草思社 2014年
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