2016年4月17日日曜日

読了メモ「ど制服」酒井順子




読了。

著者によれば、制服とは、
限定された着用期間が定まっており、着ていて刹那性があり
着用している人が束縛されつつ保護された状態にあることを示すもので、
また、制服を着た人が二人以上いないと意味がないのだそうです。

また、著者自身が言っているのですが、「制服好き」な人で、
着るのが好きな場合はマゾヒズムに、
愛でるのが好きな場合はサディズムに通じるのではということです。
この感覚を理解できる貴方は、
きっと本書をあっという間に読み終えてしまうと思います。

ちなみに、書名にある「ど」は、フランス語の de なのですが
ど根性やど真ん中の「ど」と掛けてるようにも思います。


制服の代表格と言えば、まずは学生。
ランドセルを含めて制服のサイズが体とアンバランスな小学生、
野暮ったい中学生の制服は、怪しい誘惑を排除する役割があり、
高校生は、制服を着ることで高校生たることを積極的に世に発信する。
以前は、制服に反発することが、かっこよかったりという時代もありましたが
今の時代は必ずしもそうではないようです。
特に女子高校生の場合は、制服を着て女子高校生であることを
全身でアピールして高校生という貴重な期間を謳歌している
という指摘はなるほどと思いました。

「働く制服」の章では、
まずは、内勤のOLが着る制服やサラリーマンのスーツ。
これらは、著者の言う制服とは微妙にズレてくるのですが、
着る人のウチとソト、つまりプライベートとパブリックという観点での見方は、
自分もハッと思い当たるところがあったりします。

次は、日本における二大人気女性制服職である
「スチュワーデス」と「看護婦」です。
CAとか看護師というワーディングも使わないのが潔い。
「エッチ感」という言葉がここでは使われ、
そこには当然ながら性的魅力での考察が入ってきます。

このあと、料理人、レースクィーン、肉体労働者と続きます。
宅配業者のお兄さんの制服にグッときたり
ニッカボッカの有名ブランドをリサーチするなど
深掘りがすすみます。

そして、制服の頂点である軍服。
映画「愛と青春の旅立ち」のリチャードギアや
「トップガン」のトムクルーズの世界です。
単にカッコイイという外見の話だけではなく、
「拘束度の高さ」を最大の魅力にあげています。
この観点が本書で制服を読み解くキーワードになります。

なお、本書は、単に著者個人のオタク感を開示するだけでなく、
実際の現場取材のレポートが入っているので、臨場感も高まります。

・山脇学園
・宝塚音楽学校
・寅壱
・防衛大学校

制服を着ている人しかいないエリアは、常に張り詰めたものがあり
読んでいるこっちも一緒にドキドキ感をおぼえます。


自分は詰襟の学ランに、ぺったんこの学生鞄と学生帽でした。
もちろん、もう手元にはありません。
今あったら袖を通してもみたいけれど
でも、きっと違うのだろうなと思うのでした。

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ど制服
酒井順子
朝日新聞社 1999年






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