2016年5月19日木曜日

読了メモ「どれみそら 書いて創って歌って聴いて」阪田寛夫




読了。

まずは、こちらを。




著者で語り手は、この童謡を作詞した阪田寛夫。
聞き慣れた童謡の多くは、よく知られている通り
「ドレミソラ」でできてるんですよね。
ファとシがない、ヨナ抜きの五音でできている。

めだかの学校、カモメの水兵さん、桃太郎、うさぎとかめ、
童謡だけでなく、丘を越えて とか、箱根八里や鉄道唱歌も。
ググったらもっとでてくると思う。

本書は、作詞家で小説家でもある著者の童謡制作について
戦前の話からつづられる。
童謡を中心にいろいろな歌詞が載っていて
読みながら、鼻歌を歌いながら読むのも楽しい。


戦前の話の部分は、ちょっととっつきにくい。
やはり、戦後からの話がぐっと面白くなる。
弾むように話が進んで行く。
出てくる作曲家や、掲載されてる歌詞も知っているものがほとんど。
さっちゃんを作曲した大中 恩が中軸にくるが、
まど みちお と さっちゃんの歌詞にある「寂しいね」
について語るところは奥が深い。

いぬのおまわりさんやグッドバイを作詞した
佐藤義美の世界の話では、子どもをセンチメンタルにするのは
詩の精神に反するそうで、小学校二年生と三年生の間の
二年生半の心を持つ人が素晴らしい童謡をかけるのだそうです。
そんな心を今でも持っていそうな気がするけれど、
たぶんきっと違うのでしょうね。

後半に、♪更け行く秋の夜の「旅愁」と
♪兎追いしかの山の「故郷」の歌詞の比較があります。
共通するのは「ふるさと」ですが、
それぞれの歌詞の奥にあるものが、こんなにも違うのですね。
自分は、いわゆる帰省する「いなか」を持っていないので
この二つの歌の想いや感性に触れることができて嬉しかった。


本書には、それこそたくさんの歌詞が載っています。
おなじみの童謡はもちろん、そうでないものも。
メロディを思い浮かべながら読むのもよし
曲を知らずとも活字と行間を読むのもいいと思います。

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どれみそら 書いて創って歌って聴いて
阪田寛夫 聞き手 工藤直子
河出書房新社 1995年








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