2016年5月1日日曜日
読了メモ「「悪」と戦う」高橋源一郎
読了。
タイトルの「悪」は「あく」です。
「わる」と読んでしまうと
いきおい直感的になって、なんか雑巾っぽい感じがしてしまう。
あっ、表紙にふりがながちゃんとふってありますね。
この写真を載せて今気がついた。。。
著者は小説の中で、時間を越えながら
人間にとっての「悪」を説いていきます。
反社会的行為や法に触れるようなことだけではありません。
外見、心、社会、交友関係、親兄弟、愛する人、夢、、、
人間にとって、「悪」はいろいろな場面の裏返しです。
また、ひとりひとりの価値観が違えば「悪」も違う。
正しい悪に対峙した自分は悪なのかもしれないと
哲学みたいな話になってきます。
後半、ややはちゃめちゃなところもあって
読んでる自分の位置を見失いそうになりますが
それだけ、「悪」は私たちの周りにあるのです。
で、思うに、最も重い「悪」は
自ら命を絶つことではないかと。
本書では、それを想わせる描写が何度か出てきます。
ただ、私たちが俗に言う自殺という概念だけではなさそうです。
例えば、こんな一文がありました。
「信じられないからなにもしないって、まずいような気がする。
マホさんの言うことがほんとなら、ぼくは、
「悪」に手を貸して、世界を終わらせる共犯になるってことじゃん。」
本書の主な登場人物は、お父さんとお母さん、
その子ども二人と友達の女の子です。
女の子のお母さんも最初と最後に出てきますが
自分は、この女の子のお母さんの言動が、
この小説のトーンを絶妙に設定する役目をしてるという気がします。
著者の本を読むといつも思います。
あ〜 自分って文系なんだなって。
自称理系の方も是非、読んでみてください。
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「悪」と戦う
高橋源一郎
河出書房新社 2010年
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