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2016年8月19日金曜日

読了メモ「憑かれた鏡 エドワード・ゴーリーが愛する12の怪談」E・ゴーリー 編




読了。

怪奇小説のアンソロジー。
それぞれの話の扉では、エドワード・ゴーリーの
独特の線画による挿絵がむかえてくれる。
収録作品の書き手は、C・ディケンズやB・ストーカー、
W・W・ジェイコブズなど、知ってる作家が多いのも楽しめる。

今年は、6月にも14の怖い話をまとめた本を読みましたが、
怪談のオンシーズンであるこの季節に
もう一冊と思って積ん読から手に取りました。

6月の時と比べると、こっちの方がオカルト度は高いようです。
というか、人間そのものが持つ業の深さや信念の奥底というものに
顔が思わずひきつり、ぞっとするのです。
三つまでのどんな願いも叶うという猿の手の話、
死体を常に手に入れなければならない死体泥棒をはたらく解剖医学者の話、
息子の夢に出てきた悪魔のような女のことを七年間覚えている母親の話など。

また、登場人物は数少ない一人か二人しかいないのに、
そこで展開される恐怖感があいまって、暗い闇の世界がわっと広がり
読んでいるのに何者かに追われている感じを受ける。そんな話もありました。
小高い丘と鉄道のトンネルを情景とした信号手の話や
教会の中に佇む大理石の軀の話など。


エドワード・ゴーリーについては、
いつだったか彼の絵の展示を観に行ったことがあり、
とても強い印象がずっと残っていました。
ゴシックホラーという言葉があるけれどそれとも違うし、
幻想というと逆に鮮やかすぎてしまってまた異なるし。
細い黒い線で描かれている影や闇の隙間から、
その向こう側に静かに存在するものが
見えてくるような.....、そんな挿絵がたまりません。

まだまだ、暑い日が続きます。
冷房の効いた静かな部屋で読んでみませんか。

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憑かれた鏡 エドワード・ゴーリーが愛する12の怪談
エドワード・ゴーリー編
河出書房新社 2006年


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