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2016年8月2日火曜日

読了メモ「星の詩集」「あたまの底のさびしい歌」宮沢賢治



読了。

久しぶりに賢治さん。しかも詩集。
 
もう一冊は、親友や弟、父親に宛てた書簡集。
こっちも手紙というより「詩」なのです。
散文詩とでもいいましょうか。

最初、詩集だけと思っていたのですが
読み終えて、物足りなくなってというか
もっと宮沢賢治の描く風景を覗いてみたくなり
積ん読の中にあったやや薄めの一冊を続けて読みました。


「星の詩集」では、なんとも言えない
色味の情景が浮かんでくるのです。
夏の真っ黒な夜空に蠍座のアルタイルの赤。
鉱物のことはあまり詳しくないんだけれど
蛇紋岩とイリドスミンに空が染まっていて、
その空の下には、また違う黒色か褐色の
大地がうねっているわけです。
うまく言えないけど、大地と夜空の奥側にある色が
浮かびあがってくる感じがするんです。
銀河と名のつく駅や鉄道も出てきてさらに世界が広がります。

夏のささやかな思い出とお盆の送り火を思い浮かべながら
冬に亡くなった妻のことをうたった詩などもありました。
ここでも蒼白いという色がでてきて
言葉の線も細くて最後は寂しいのですが好きな詩です。


書簡集の方も、宇宙や鉱物が相変わらず出てくるけれど
さらに仏教の教えや題目がでてきます。
星の詩集とくらべて、こっちはぐっと骨太なイメージです。
今を破壊する「しっかりやりましょう」が21回も唱えられています。
まだ、まだ、まだ、まだこんなことではだめ なんだそうです。
 
化石になるなと言い、真理と正義をそれぞれ正しく理解しているか、
我々は勘違いしていないだろうかと自戒をこめています。
真実を追い求めてもがいているのか、
よく言われる「本当の幸せ」を探す気負いのようなものが
手紙の中に溢れているようです。

 
また間をおいて、童話や物語の方も読んでみようと思います。
 
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星の詩集
宮沢賢治
星の手帖社 1996年

あたまの底のさびしい歌
宮沢賢治
港の人 2005年






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