読了。
「心臓の力 休めない臓器はなぜ「それ」を宿したのか」
ゾワゾワするスリラーもの。本書の半分近くまでが、表紙の装丁にみえるように車内の二人だけの会話からなっている。行き先は彼氏の両親の家。そして彼女はもう二人の関係にピリオドを打とうかと考えている。車内には不穏な雰囲気が充満する。
両親の家は、豚や羊、鶏もいる農家の一軒家。家が見えてくるが、どうやら二階の窓辺に髪を伸ばした女性の姿が見える。母親らしい。彼女は下から手を振るが、夜で暗いため二人の姿は二階屋からは見えないようだ。家に入ると広い部屋に通される。両親の姿はなく部屋はストーブの薪がはぜる音が響く。飾ってある白黒写真に写っているのは自分だと彼はいうが、どうみても髪の長い女の子だし、そもそも写真が古すぎる。料理が準備された食卓の部屋に入ると、両親は少し遅れてひとりづつ部屋に入ってくる。
両親宅からの帰り道、再び車内の場面。夜の雪道、廃校となった彼の母校の前で車を停めるが、ここで異変が。誰もいないはずの校舎から誰かが自分たちのことを見ているのだ。彼は校舎の中に入っていくがなかなか帰ってこない。彼女はたまらず彼を探しにいくが、戻ってくると車がなくなっていた。。。
話の合間、合間に、どうやら刑事が現場調査をしている場面の会話が挿入されている。刑事たちの会話から察するに殺人事件らしい。クローゼットから遺体が発見されたようだ。
最後まで、終始不穏な雰囲気がただよう。猟奇殺人を連想させるようなところもあり、落ち着いて読んでいられなかった。帯には二度読み必至とあったが、自分はもう怖くて読めない。。。
ミステリーの古典。
世界最初のミステリー小説と言われる「モルグ街の殺人」を含め、
全11編が収録されています。
いったいどんな展開になるのだろう…、
現代のミステリーとはちがったどことなくお洒落な雰囲気が漂う作品なのかな
と思いきや、え〜!こんな結末だったのかぁ〜〜〜と驚き!
途中の謎が謎をよぶ展開では、どんな解決を見せてくれるのかドキドキするし、
現場に現れた人物の証言を一つづつ整理しての検証も
読む側を引き込んで没頭させてくれます。
が、よもや真相が。。。。
ある意味、ありえないどんでん返しといえるかもしれません。
ほかの謎解きというかファンタジックなお話は、
どちらかというとエログロナンセンス系でした。
日本の平井太郎さんが感銘を受けて
ペンネームにポーの名前をもじって使ったこともうなずけるものばかり。
ミステリーの謎解き役には、
頭脳明晰な探偵と少しとぼけてるけど行動力のある相棒がでてくるという
いまのミステリーでも定番の人物設定ができあがっていました。
これものちの明智小五郎や小林くんにつながっていくんだろうなと思いました。
表紙の装丁もロートレックとお洒落な感じですが、
中身は江戸川さんチックなお話ばかりです。
お話だけではなく詩が3編ほど収録されており、
翻訳も絶妙で不思議なリズムと音韻の響きが不穏な雰囲気を醸し出してもいます。
暗号解読の「黄金虫」というお話も面白かったなぁ。
未読な方は是非。
読了。
地球全体を一つの生命体ととらえて環境問題を論じている。著者のラヴロック氏はNASA宇宙計画の共同研究者として火星の生命探査計画に参加したのをきっかけに本書を書き上げた。
地球の生物・大気・海洋・地表は、単一の有機体とみなせる複雑なシステムであり、生命にふさわしい場所として保つ能力を地球はそなえているという仮説からスタートする。人類や他の生命は、この地球を快適な住み家として維持する力をもった巨大な生き物の部分であり、お互いがパートナーであるという見方だ。
生命が地球に生まれる前、地球はどんな状態だったのか。隣の火星と金星に生命がないのに、なぜ地球は生命を生み育てることができたのか。生命が誕生してから35億年、ほんの短期間でも生命にとって100%不向きな時期はなかったし、海洋が全て凍ったり沸騰したりしたことはなかった。氷河期の寒波も北緯45度以北と南緯45度以南の地帯を襲っただけで、地表の70%はその氷河に覆われた地帯に入っていなかったという。
地球が、生命にとって最適な環境を提供しているかについての論証は、大気組成そして海へと展開する。その海での問いは象徴的だ。
「海はなぜもっと塩辛くならないのか」(p169)
それは、海洋の塩分が生物学的なコントロールをうけてきたから。地球という巨大な生命圏のなかで長い年月の時間軸で調節をはかってきたということだ。
そして、都市化や工業化によって人間が環境に与える汚染問題が投げかけられるのだが、賢明な方法を用いれば他の生物種を自然生息地から追い立てることなく食糧生産することができることを例に挙げ、理知的な組織と高度なテクノロジーが必要と説く著者は、
「人間のテクノロジーが人間にとって破壊的だった
ということになる可能性はあるが、
現在または近い将来における工業活動のレベルで、
全体としての地球の生命が危うくなる根拠は薄い」(p195)
と言っている。これは意外な論旨展開だった。
ここまで読んでくると、相当に長い時間がかかることは前提としながら、人間が環境を汚染してしまっても、地球環境は自らの調整維持機能で回復し存続していくと読めてくる。しかし、最後に問題を突きつけられる。それは「人口増加」問題。著者は世界の人口が百億人を超えたあたりで、一人あたりのエネルギー消費が増大した場合、牢獄のような地球となるか、超大量死の末に別の生存者に地球を渡すことになると言っている。
全体を通して、人間がもたらす地球環境への汚染問題は恒常性をもって回復維持されるトーンではあったが、あとがきで訳者が補足的に「人間に対する地球自身の声」を代弁していたので引用する。自分・あなたが人間を指し、私が地球のことです。
母なる地球は我々人間を見捨ててはいないということでしょうか。
「むずかしいことではありません。
自分が地圏、生命圏、大気圏をあやなす
〈私〉という生態の一部であることを認識し、
〈私たちすべて〉の健全な進化を
めざしてくれればいいのです。
あなた方の未開な文明が、その逆に生命を抑圧し、
殺害している現状を打破してください。
熱核戦争の危険と、放射能廃棄物を未処理のまま放棄している
という事実の原因をつきとめ、解決の工夫をすること。
これがあなた方現行人類にさずけられた公案です。」(p280)