2014年9月1日月曜日

古本屋四十年

昭和28年、若干二十歳で下町に古本屋を開業したまさしく古本屋青春奮闘記。
そば屋に入って「ライスカレー」を頼んだり、
ダイハツの軽三輪ミゼットがでてきたりと当時の空気感が満載。

本書全般を通して、やや自虐的ともいえる
働き過ぎな自分を卑下する視点があり
確かに貧しく苦しい生活を続けていくのだが、
古書組合の活動や市の競りを通じて
業界の中でしっかり成長していく姿が綴られている。

面白いのは、やはり古本の「流行り」のところで、
三島由紀夫事件後の関連書籍の急騰や、
デパート催し物会場での初の展示即売会でのマニアの殺到ぶりは想像を絶する。
しかし、今は映画やテレビの興隆、メディアの多様化の中で
希少価値な品物が底をついてきてジリ貧感に苛まれる。

そんな中で、著者は大好きな島崎藤村の肉筆原稿や書簡などを蒐集しながら
古本古書の将来は、一つのキーワードをもって明るいと言っている。
若い人は、もっともっと先をみて商売をしなさいと言うことにつながっていく。


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