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2014年9月6日土曜日

道化の精神

太宰 治が新聞や文芸誌などに寄せたエッセイや
小説作品の中から集めた引用集とでもいうもの。
それこそ一行だけの文章とかもある。

小説ではないこういう形で太宰 治を読むのは初めてだったが、
なおのこと、厳しい文章が続けざまに入ってくる。
一つ一つがずんとくる。
例えば、短い文でも、鉈でずぶっと刺されるようなのがいくつもある。

「はじめから、空虚なくせに、にやにや笑う。「空虚のふり」」

「苦悩を売り物にするな、と知人よりの書簡あり」

「甘さを軽蔑する事くらい容易なことは無い。
 そうして人は、案外、甘さの中に生きている。
 他人の甘さを嘲笑しながら、自分の甘さを美徳のように考えたがる。」

全編通して思うのは、実際、君は何をしたのです?
と問われ続けている感じを受ける。


また、逆説的な表現で真意を突いてくるのも自分が太宰 治を好きなところでもある。

「子供の頃に苦労して、それがその人のために
 悪い結果になったという例は聞かない。
 人間は子供の時から、どうしたって悲しい思いをしなければならぬものだ。」
とかね。

最後の「如是我聞」も痛快。
某作家を徹底的に罵倒し続けている。ここまで言うか〜(笑)というくらい。
ということで、「斜陽」とこの某作家の作品も読みたくなったよ。



2 件のコメント:

  1. …某作家ってあの人かなー…対立?が有名ですよね。

    太宰治、人間失格しか読んだ事がないのです。
    なのにあんまし好きでないとか思ってましたが、この書評で少し変わりました。
    「甘さ〜」の文章がちくっと来ました。
    この本読んでみたいです。

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    1. ばばばさん
      S賀N哉ですねw
      引用集みたいなものなので、太宰治のエッセンスが
      濃厚に凝縮されて味わえます。
      邪道かもしれないけどねww

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