2014年7月11日金曜日

戦争における「人殺し」の心理学

読後感をひとことで言えば、
「なんて人間は愚かなんだ」とでもなろうか。
戦争はあらゆるものが失われる一方で、
不幸にも戦場に向かった兵士の心には一生涯拭いきれぬ深い傷が残る。
軍の規律、連帯、大義、恐怖、
強烈な対人殺人の強制下でも、兵士は本当は人を殺したくないのだ。
戦場で敵と相対した緊迫した状況でさえ
銃の照準を外す兵士が多かったことが示される。
人はなぜ人を殺すのかよりも、なぜ人は人を殺さないのか。
という問いを著者は提示する。
また、そんな兵士のズタズタになった精神を癒す措置に今更ながら気づき、
それがなされなかった事例は本当に心が痛む。

なお、本書には、思わず目をそらすような記述も一部出てくるので
読まれる方は注意が必要です。



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