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2016年1月13日水曜日

読了メモ「この世には二種類の人間がいる」 中野 翠



読了。

いわゆる、あるある!のエッセイです。

二種類といっても50話もあるので、
様々な種類やパターンに出会えます。
ひっくるめて言ってしまえば
あっち側の人とこっち側の人ということになりますか。

そして、自分はこっち側にいるけれども、
あっち側の気持ちも、たまにはわからないではないという話もあれば
全く意に介さず、ありえない、絶対だめ!ってのもある。
著者本人の思い込みにすぎない部分も多々あるのでしょうが
出てくる話が、そうだよねぇ、そうそうってのが結構多かった。

その二種類の組み合わせを目次からいくつかご紹介しましょう。
なお、個々のお話は、本のタイトルである
「この世には二種類の人間がいる」を受けた形でできあがっています。

・それは、嫌いな言葉を持てる者と持たざる者だ
・それは、「キチッと」と言う人と「ザッと」と言う人だ
・それは、あのかたをヤワラちゃんと呼べる人と呼べない人だ
・それは、「おめもじ」と書ける人と書けない人だ

などなど。
ちなみに、嫌いな言葉云々にでてくる言葉とは、
「ノミニケーション」とか、「歌をば歌う」の「をば」とか。


ただ、最後になって、人間は二種類の分類でおさまるはずがなく
そもそも、---タイプ、---系、---派、---族と
人を評するのを好きになれない と言うのです。
二種類の人間がいると言い出したのは
著者自身なのにと思う一方で、でも確かにその通り。


思い込みや、先入観、偏見で物事や人物を一方的に見てしまう
「ステレオタイプ」と言う言葉を耳にすることがあります。
この本のタイトルをみて、自分が最初に思い浮かんだのはこの言葉でした。

けれど、この本の中だけでさえ50組の人間の見え方がありました。
二種類の見方はもっともっとたくさんありそうです。
ということは、いろんな角度や視点、切り口を変えて人間をみてみると
およそステレオタイプな見方や発想なんてのはありえなくて
人間ってのは、多彩で曖昧で混沌としているという
著者の指摘の通りではないでしょうか。

翻って、自分自身のことについても型にはめたり決めつけたりして
見たり考えたりしてしまうのも無理があるよねと感じたのでした。


最後に本題と外れますが、執筆された時期が
2003年から2007年とちょっと前なので
引用される事象やときたま出てくる人物像が
当たり前ですが微妙に今とズレています。
そんなところもニヤついて読めるのでお楽しみください。

あと、文章だけでなく、表紙や中の装画も
著者本人が描いています。

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この世には二種類の人間がいる
中野 翠
文藝春秋 2007年




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