読了。
飼い主の名前はウィリー。犬はミスター・ボーンズ。
読み始めたとたん、あれ?飼い主と犬の名前を取り違えたか??
と思ったがそうではなかった。
ティンブクトゥというのは来世のこと。
ほどなく、ウィリーはこの世を去ってしまう。
残されたミスター・ボーンズは彷徨い
新しい飼い主に出会えることもあれば
厳しい残酷とも言える野良な生活を続けることもある。
そんな時、ミスター・ボーンズは
夢や妄想の中でウィリーと話をして
元気づけられ励まされ、ある時は試される。
そして最後、ミスターボーンズは、
ウィリーのところに帰っていきます。
ミスター・ボーンズは、人間が話しかけてくることは
細かいニュアンスはわからないまでも、おおかたのところ、
少なくとも飼い主の気持ちは理解をしています。
そして、時には事態を少しでも好転させるために、
鳴き声や尻尾、跳ね回る動きで
返事をしたりするところがいじらしい。
逆に、人間のそばにいるだけで
やりきれない話の聞き役になり、
言葉を交わせないけれど、
人間を励ます役になったりもしています。
飼い主の思いに寄り添って、
犬が生を全うしているという
ちょっと切ない気持ちになるお話です。
ウィリー以外の飼い主にも出会えるわけですが、
ただ、「飼われる動物」である以上、
彼らは人間の支配下から外れることができない。
そこが、読んでいて一番つらく感じたところかな。
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ティンブクトゥ
P・オースター 柴田元幸 訳
新潮社 2006年
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