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2016年1月24日日曜日

読了メモ「ティンブクトゥ」ポール・オースター




読了。

飼い主の名前はウィリー。犬はミスター・ボーンズ。
読み始めたとたん、あれ?飼い主と犬の名前を取り違えたか??
と思ったがそうではなかった。

ティンブクトゥというのは来世のこと。
ほどなく、ウィリーはこの世を去ってしまう。
残されたミスター・ボーンズは彷徨い
新しい飼い主に出会えることもあれば
厳しい残酷とも言える野良な生活を続けることもある。

そんな時、ミスター・ボーンズは
夢や妄想の中でウィリーと話をして
元気づけられ励まされ、ある時は試される。

そして最後、ミスターボーンズは、
ウィリーのところに帰っていきます。


ミスター・ボーンズは、人間が話しかけてくることは
細かいニュアンスはわからないまでも、おおかたのところ、
少なくとも飼い主の気持ちは理解をしています。

そして、時には事態を少しでも好転させるために、
鳴き声や尻尾、跳ね回る動きで
返事をしたりするところがいじらしい。
 
逆に、人間のそばにいるだけで
やりきれない話の聞き役になり、
言葉を交わせないけれど、
人間を励ます役になったりもしています。

飼い主の思いに寄り添って、
犬が生を全うしているという
ちょっと切ない気持ちになるお話です。

ウィリー以外の飼い主にも出会えるわけですが、
ただ、「飼われる動物」である以上、
彼らは人間の支配下から外れることができない。
そこが、読んでいて一番つらく感じたところかな。

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ティンブクトゥ
P・オースター 柴田元幸 訳
新潮社 2006年
 

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