2016年1月8日金曜日
読了メモ「猫がゆく サラダの日々」 長田 弘
読了。
詩人 長田 弘さんによる女の子と猫の物語。
読み始める前は、長田さん風の我輩は猫である的なお話かなと
装丁やタイトルからそう勝手に思っていたが、はたしてそうではなかった。
2年ほど前に前作の「ねこに未来はない」を読んでいて、
そちらは、ゆるい感じのエッセイだった。
本作は、ぐっと哲学ちっくであるように思う。
別な言い方をすれば、42の章からなる散文の形をした詩のようなものか。
登場するネコもネコらしくない。
なんせ、名前がウサギ。
ウサギと呼ばれながら、藤細工のトランクに入った
ほとんど動かない年老いたでぶなネコ。
名前やネコで連想するイメージとは真逆に近い。
このネコの飼い主が、ジュジュという女の子。
漢字で、自由自由 と書く。
仕事は楽しみで労働は強制、何のために?という問いが嫌い、
蜜柑箱と称する地下鉄(銀座線のこと)だけがジュジュにとっての地下鉄で、
街の中では、何やか屋という言葉を売り買いするお店のある
赤いライオン横丁が好きな場所。
なかでもエレベータの話が印象に残る。
32階しかない建物なのに、なぜ35階までエレベーターの数字があるのか。
6階と書いてはあるが、そこは本当に目指す6階なのか。
実はエレベーターとは飛んでいるのではないか。
と、不思議な堂々めぐりの世界に入り込んでいく。
でも、読んでいて、足元がふわりと浮くようなこの感覚は、
その昔、夢か空想か何かで感じたことのあるようなものだった。
うまく思い出せないけど、遠い記憶の中にかすかに残っている。
以前も書いたけれど、長田さんの文章には、
行間から滲み溢れてくるところを味わう面白さがとってもあると思います。
昨年、亡くなられたのが残念でなりません。
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猫がゆく サラダの日々
長田 弘
晶文社 1991年
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Rinさんの書評はいつも興味ふかい本をうまく紹介してくれてます。
返信削除本年もよろしくお願い致します。
ツイッターにてツイートしました。
BBBさん
削除こちらこそ今年もよろしくお願いします。
書評というほどのことを書いているわけではなくて、ホントにメモとか備忘録なんですw