2016年1月19日火曜日

読了メモ「あのころの未来 星 新一の預言」最相葉月


 
読了。

星 新一のショートショートにまつわるエッセイ。
というか、コラムかなという感じもする。
エッセイとコラムの違いをよく理解していないけれども。


中学生の頃あたりになるのだろうか、
星 新一の本を自分はそれほど読んでいたわけではない。
その超短編の形に、変な抵抗感や偏見みたいなものを
あの頃には持っていたような気がする。
しかし、それも今は昔。
今回、この本を読んで俄然として
星 新一を読みたくなってきたのは言うまでもない。

実は一昨年に、星 新一を一冊読んでいるけれど
この本にあるような感覚や発想までには至らなかった。
まだまだ読みが浅かったのだろうか。

本書は、特に医学や生命に関する視点で切り込んでいる話が多い。
臓器移植、クローン、健忘症、人工授精、代理母、。。。そして、死。
人間だけでなく地球上のあらゆる尊い生命に手を下していく
星 新一の描く未来の人間とその倫理観を問う。
思わず胸がつかえそうになる。

たぶん、中学生の頃に星 新一をたくさん読んでいたとしても
本書のような思考や考えの発想は持たなかっただろう。
むしろ、このような評論とも言える切り口を一度通してから、
オリジナルを再び読むことができるというのは
それはそれで大人ならではの読み方ではないかと思う。

そういう意味で、あの頃読んだあんな小説とかこんな話とか
もう一度読んでみたいと思っている本がたくさんあるのです。

 
本書の中で取り上げられていた話の中に
「ナンバー・クラブ」というのがあった。
まさにこれは、今の「マイナンバー」とどんぴしゃ。
名前や住所、電話番号だけでなく、医療情報、資産やお金の流れ、
趣味や交流関係までが、10数桁の番号でつながっている社会。
そして、この「ナンバー・クラブ」の会員になることで生じるリスクが
最後に紹介されています。
う〜ん、そこまで行きついてしまうのかなぁ。。。。。
などと、いろいろ考えさせられる一冊です。


さて、あとがきまで読み終えた後、なぜかあの歌が聴きたくなりました。
本のタイトルで思い当たる歌がありませんか?
ここ最近話題の5人組の歌です。
 

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あのころの未来 星 新一の預言
新潮社
最相葉月 2003年


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